第3話 会話

そんな心臓が高鳴っている中、バタバタとうるさい足音が近付いてくる。



「っはよー!!」



色素の薄い茶髪に身長は私より少し高いくらい。クラスメイトの土輪つちわ 由伊ゆうい



「うるさい由伊。」



「んだよ!なぁ、今日の俺どうだった?」



「アホ。」



「由伊が冥野先輩の真似事してた、以上。」



「真冬は置いといて、楼伽のそれはなくね!?いつもなら『その努力は大事』って褒めてくれるとこだろ!?」



とても気分がいいのに、この騒がしさと似てもないモノマネで台無しにされそう。



「今日も格好良いよなぁ、早く俺も冥野先輩みたいになりたいなぁ。」



「冥野先輩の良さを分かってる由伊さすが。そんな由伊でも今の私の気分を壊さないでほしい。」



由伊は冥野先輩に憧れていて、常にどうやったら先輩のようになれるのかを研究している。ただ、結論はある。



「先輩のようになれることはない。」



「それ言うなっつってんだろ!まだ分かんないからな!」



「もうそのやり取り飽きたから、黙って。」



クールビューティーと呼ぶに相応しい真冬の心に刺さる言葉、今日はグッジョブ。奴の胸に刺さった槍が素晴らしい。



「ほら、授業の準備するよ。」



移動教室の準備をするけど、頭の中はそんなことどうでもよくて。



「ほらほら~。」



ズルズルと



「楼伽がまた引き摺られてる。」



「天路も大変だな。」



そわそわが止まらない。授業なんて頭に入らない。だって、初めて直筆の手紙(メモ)を貰って幸せだと思ったのに・・・呼び出し?

え、私の運を使い果たした?というか、何の用だろう。まさか・・・何かお怒りに?

1日中考えたり、真冬に相談したけど分からず。とりあえず、ドキドキしながらも放課後、急ぎ足で図書室に向かった。



静かな中、長い足を組んで本を読んでいる。



「眩しくて直視が・・・っ。」



神々しいお姿です!



「あ、君が星宮さん?急にごめんね。」



読んでいた本を閉じる仕草すら色っぽい。



「きちんと話すのは初めてだね。」



「はいっ!星宮 楼伽です!」



会長をやっているけれど、話したことは一度も無い。こんな日が来るとは・・・。



「ありがとう。」



「え・・・?」



何のことだろうか。



「君がファンクラブを作って、皆をまとめてくれているから随分と過ごしやすくなったよ。」



「その為のファンクラブですから!そんなお言葉を頂けるなんて・・・!」



あまりにも皆が冥野先輩を囲んでいて、いつも動きずらそうだし疲れてしまう、というのを解消する為に作った。

元々もファンクラブがあったけど、潰させていただきました。

冥野先輩の為じゃないファンクラブを潰すのなんて朝飯前でした★



「ひゃっ!」



座ったままの冥野先輩が私の右手を取った。



(もう、洗えないよこの右手!)



「だから、お礼を・・・」



バン!!



「楼伽ー!!!」



冥野先輩のお声を遮ったなぁ!!!



まず図書室に入る入り方じゃないし、大声とか論外だからね。

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