第2話 家宝
「はぁ~・・・あんな人が同じ高校とか、毎日拝めるとか奇跡。」
「同じこと毎日言ってて飽きないの?」
後ろから聞こえてきた声の持主、彼女は親友の
「真冬こそ、いつになったら冥野先輩の良さが分かるかなぁ。」
「凄い人っていうのは聞いてるけど。」
「
「由伊はもうそういう話じゃないでしょ。噂もそうだし皆を見てれば分かる。」
「ファンクラブに入らないにしても、そんな反応は本当に真冬くらいだよ。」
真冬は冥野先輩を追いかけないし、全く興味がない珍しい人間なんだけど、真冬なら仕方ないかな、なんて、魅力を伝える努力は続けてる。
「由伊は?まだ来てないなんて珍しい。」
無表情で指された方を見ると、冥野先輩のずっと後ろの方に歩いている。
「何であんなところに?」
「▪▪▪アホだからでしょ。」
「どういうこと?」
「良く見て。」
ん?
冥野先輩を拝んで、由伊、また冥野先輩▪▪▪
「由伊の気持ちは分かる。」
「分かるの!?」
冥野先輩が右足を出せば由伊も右足が出る。鞄の持ち方も同じ。
「楼伽もアレだけど由伊も大概だね。」
「アレって何!?」
「というか、良く怒られないね。」
そう溜め息を吐きながら、呆れたように私を見る。
「だって知ってるし。」
「今日は?」
「野球部の助っ人。」
「楼伽!」
走ってきたんだなぁ。顔を真っ赤にして息が上がり、目をおっとりさせたクラスメイト。勿論、彼女も会員です。
「こ、これ・・・。」
差し出されたのは小さな紙。
「渡してって、冥野先輩が・・・おかげで話せたよ、ありがとう!!」
「あり・・・がと・・・。」
受け取れば紙には綺麗な文字が
〈放課後、図書室で待ってる。来てくれると嬉しい。 冥野 雫玖〉
写メを撮って急いでクリアファイルに挟んだ。
「家宝にする。」
「え・・・。」
真冬、そんな蔑んだ目で見られても痛くも痒くもない。
初めての冥野先輩からの直筆。
部屋に飾ろう。
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