外伝
空は澄み切ったように青い
そんな些細な事さえ
私にはどうでも良く思えた。
6年前のあの交通事故が
私たち家族を変えてしまった。
(一人娘のリリカはもう帰って来ない…)
その考えが頭の片隅にこびりついて離れない。
でも最初からそう思っていたわけではなく、
いつの日にか目を開けて満面の笑みで呼んでくれるとも思った。(ママって! ね、、)
でもその度に目の前の現実に落胆する。
我が子は寝てるだけに見えるのに6年間ずっと起きることはない。
(生きている事自体、奇跡に近いことだとわかっている。でもあらぬ期待をしてしまう)
「もう、心身共につかれた」
寝てる娘に多額の医療費がかかる。
金銭的にも辛く苦しい
それでも、尿や便の匂いを感じる度に
自分に言い聞かせることしか出来なかった。
(諦めないで、ママ)というように、年月とともに身体は年々と成長をつづけている。それが余計にむねをしめつける。
周りの母親を羨んだ、
(どうして私の子だけ!?)
嫉妬に狂いそうな事もあった。
でも心の何処では、
起きてくれると信じてた。
我が子が植物人間になるという形でも希望は簡単に捨てられるようなことではない。夫と話し合った末、リリカの部屋はそのままでリリカが生活しているかのように振る舞った。
神様は残酷です。
10歳ーまだまだ幼さが残る我が子がなぜ!!?
言葉にできない感情が込み上げてくる。
あなた、朝よー
リリカのいない朝が日常的になってから、朝早くから夜遅くまで二人とも働きづめである。
ロボットのように、日常をこなしている。
そんな私たちを見透かしたように担当医は、安楽死を提案する。
何をばかなことを。
可愛い我が子。
まだ生きているリリカを、見捨てることができるわけないと涙ながらに訴えていた。
それでも、夫の疲れきった様子が鏡のように感じられる頃。
どちらかともなく、安楽死の言葉が出てくる。
三人で、あの世であえるかも…ふとそんな考えが頭をよぎった頃…。
、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます