第18話 洋子ー助かる
食べ終わってから、凛は決意を決めたように携帯を持つ。
「警察か?」
「うん、今さら遅いかもしれないけど、後悔したくない。だから…」番号を間違えないように慎重に押していく。
「もしもし、○○けいさつしょですか?あの 女友達が拉致、監禁されています。はい、はい。場所は〇〇市の〇〇町1-32です。私の名前は、別に いいです。はい。早くいってあげてください」要点をいうと、電話を切りそれから立ち上がる。
「おい、どこ行くんだよ。お前、まさか戻ろうとしてないよな」
「そうよ。悪い?私が戻ったからって何もできないことはわかっているよ。でも、最後にできることってこれしかないなって思ったから」そう、これは自分のためかもしれない。友達を嵌めたことへの、少しでもの罪滅ぼし。そういうと支度をしはじめる
「じゃあ。今までありがとう」目を合わさずにドアの方へいこうとする。
「何がじゃあだよ。まあ、まてよ。俺も行くから」
「!!」
「昨日から、お前の言った言葉考えていたんだ。俺の為にお前の親や友達、親せき周りにも借金して断絶状態になって、その挙句体まで売って最後の最後まで見捨てなかったって、まんまお前のことだよな……いまさらこの状況は変えられないかもしれないけど」
凜は、痛ましい顔でまじまじと俺を見つめ返した。
「いいの?」目の中には涙が潤ってきている。
「ああ、なんか今の俺すごくかっこよくないか?」
「うん、とってもかっこいい よ」溢れてきた涙を、ふき取りながら答える。
「じゃあ行く前に、ちょっとHしてくか?」
「何、バカ言ってるのよ早く支度して。もう行くよ!」なんだか嬉しそうである。
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緊張しながらやつらのアジトに近づくと、何やら騒がしい気配を感じる。
警戒しながら、二人は距離を縮める。
視界に入ったものは、何台もの車。パトカーだった。
「通報してから、早くない?」凜も、不思議そうに小声で喋る。
さらに、近づくと洋子の顔が見えた。警察に囲まれている。
(よかった。助かったんだ)
「おいよかったな、友達助かって。あいつらも捕まったみたいだし」大きめの護送車が目にはいる。
「おれらの仕業だってバレバレだよな。まあ、後は運任せだな。元々計画性のない人生なんだから」
「あっ」凜が、ふいに声を上げる
「えっ」耀司も気がついた。警官たちの中から、洋子が俺たちの方へ向かって歩いてくる。
「洋子にみつかっちゃたみたい」
「おい、なんかやばいぞ。帰るか?」
その間にもどんどん縮まって至近距離になった。
「凛、あんたどういうつもりよ」大人しい洋子が、声を荒げている。
あたりまえか…。
「ばか、ばか、あんたなんか、死んじまえ。友達なんかじゃない」がむしゃらに、私にむかって手を振りかざす。華奢な手だが、力をこめた平手打ちは胸や顔や頭に容赦なくあたってくる。
「うっ」痛みで、ふいに声がでる。でも、洋子の顔は泣きそうにしている。悪いのは、私の方なのに…。
隣にいた耀司も、見かねて手をだそうとしてたのと同じタイミングで一人の警官が後ろから同時に洋子を制した。
「もうこれぐらいで、いいんでは? あなた方も、関係者ですね」私達に向かって、同意をとる。
それからは、別々のパトカーに乗せられて事情調書のため警察署へと向かった。
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