第4話 出向
1945年1月
園田は伊400型潜水艦という玩具を手にし、ガダルカナルへと出向した。船は『獣王』となずけられ、先端には彼のパーソナルマークであるドクロが描かれ、彼は健康な目に眼帯をつけていた。この船はの艦載機を三機搭載でき、単艦での作戦行動には適した兵器であった。
獣王は九州沖で艦載機、となる零戦三機をランデブーすることになっていた。
横須賀を出てからまもなくして船は九州沖の合流地点に到着した。その最中、園田は航海長である吉瀬に嚙みつかれていた。歴戦の勇士である吉瀬は園田を早い段階で無能と判断した。彼は進路はここまでの道中進路を指図し、ここまでこれたのだ。吉瀬の乗艦は山本によるものだった。彼は幾度となく上官にたてついて船を下されていた。しかし、彼が下りた船はことごとく米軍に撃沈されていた。山本は、そんな彼の腕を見抜き、どの船からも乗艦を断られていた彼を園田の下につけたのだ。
「艦長、そろそろ浮上しては?ゼロ戦を潜らせるのですか?」
「ふ、浮上!」
真っ青な海から黒い船がかおをだす。
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その日の風は筋力のない幼子のように弱かった。
純白の機体は海の色と組み合わさってばえた。もしかすると、悪魔の見た目は本当は真っ白なのかもしれない。人を殺せるとは思えないほどその機体は美しかった。真っ白な三機のゼロは優雅にそらで遊んだ。そして黒い船を見つけ、そこにとまった。
三人のパイロットは白い機体から降りるとすぐに艦首へと向かった。
「白竜航空隊、永野ツバサ少尉」
「同じく、川口ノア少尉」
「同じく、佐野レイ少尉」
敬礼する三人を見た園田は違和感を覚えた。それは、その場にいたほかの兵士についても同じ感覚だった。思はず腕に鳥肌がたった。人間ではなく野獣と対面した時のような恐怖だ。
コツコツと固いゴムの足音を立てながら黒いスーツの男が艦首に入ってきた。そして男は言った。
「彼らがルーセットです。この船の"切り札"」
園田は質問を投げかける。
「菅野少佐、本当に彼らは人ではないのか?」
「はい、彼らは死体から生きた臓器を集めて作られた”人工的な生物”です。人が生まれ、成長する手順を踏まない彼らは人ではありません。」
白竜 マッピー @mtu_1997
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