おはじき

がしょーん!


がしょーん!


がしょがしょーん!


「ねえねえ。ゴージャスちゃん。あれ、うるさくない?」


あ~あ、せっかくうとうとしてた赤ん坊が泣き始めちゃったよ。


「私たちは慣れましたけどね。なんか夜になるとやるんですよね」

「言った方がいいよ」

「言った方がいいって。相手は神様ですよ」

「神様ったって、子供だよね。教えてあげないとわかんない」

「そんなこと言っても」

「どこにいるの?」

「見えません。高い所」


ふうむ。


あたしは開けっ放しの窓から空を見上げた。

成程見えない。見えないけど、眼下で車が勝手に走ってクラッシュしてる。

あれ?かすかに笑い声が聞こえる。上空からだ。


私は、思いっきり息を吸って、空に向かって声を張った。


「こらあああ!!神様!!今何時だと思ってんだ!!」


あ。笑い声が止んだ。


「夜は、みんなが寝る時間です!うるさくしてると寝られない子供もいっぱいいるでしょ!ほら、赤ちゃんも起きちゃった!」


上空から、かすかなすすり泣きが聞こえる。そして、

「ごめんなさい」小さな声が頭から降りてきた。


私とゴージャスちゃんは目をまん丸くしてお互いの顔を見た。


「ねえ。昆布さん、泣いちゃったよ。神様」

「やばい。これは、やばい」

「昆布さんったら」


ならば。

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