第48話 迷宮探索 4
パキン…。
低ランク魔物が自然に棲みつくだけの存在になった。その確認も兼ねて、
「何故こんな事を?あんな魔道具まで使って
隠す気もない気配。
核晶石部屋入口にいるフランギルドマスター、ケインさん。
「君が言った通りなんだよ。兎に角、
何か遠い目?
「じゃあ皇女殿下弑逆は?」
「取ってつけたモノだ。あのタイミングで殿下がお忍びで来るなんて流石に我々も思っておらんよ。領主代官である
言いながら入って来る。
何か、吹っ切れたみたいだけど?
「此処に、この
「オレが余計な事をした、と」
「考えもしなかったよ。まさか
「で、1人で来たのは?」
「冒険者達を送り返されたら、もはや手は無い。何人いても一緒だろう。それこそ山賊の手を借りてとも思ったのだが、彼等に何か事情が出来た様だ。どうやら君にも裏から手を貸す者がいる様だな」
裏から?
この時は思い当たらなかった。
ビリー親分が動いたみたいで。
蛇の道は蛇。
山賊デボルドはビリー親分とヤリ合う事を嫌がったらしい。
漢気あるなぁ。
「『
「そうだな。近衛官僚として皇家に仕える、他家貴族からすれば優遇されている位置にあるようにも見えるだろうな」
自嘲めいた表情。官僚家は表向きなの?
「
戦時捕虜って?
ベルン王国との前戦争は確か12年前だけど、この時は捕虜交換やら身代金譲渡で捕虜を連れ帰らなかった筈。
家系…。それじゃ何年前の戦争の話だよ。
「君が、と言うより我々が生まれる前の話だ。祖先に技術者がいた。だから捕虜として奴隷ではなく騎士爵位と新たな家名が与えられた。元はケント家だそうだ」
「ベルン王国の?それじゃミスリル精錬の魔綱炉を造り上げたガムラン=ケント?」
「そう。彼が祖だ。尤も名ばかりでね。扱いは奴隷に等しかった。この地の代官職も恩着せがましくね。皇家は兎も角、宮廷官吏長以下の官吏達からすれば職人風情の成り上がり貴族、としか思われておらんよ」
「だからって」
「此処で騒動を起こし、連鎖的にミズル公国に続くはずだったが…、そう言えばそちらの鎮静化にも君は関与していたな。君に恨みを晴らすのはあながち筋違いというわけでもなさそうだ」
とばっちりにしか思えねーよ。
「どっちにしろベルン王国でも闇竜ヴァルザールの活動に端を発した
「本当に
「ね、そこまで暴露して大丈夫?まさかオレに対して『死人に口無し』が通じるなんて思って」
「ないな。流石にそこまで自分が愚者だと思いたくはない。笑ってくれていい。ミリシアが君から手を引いた事の意味はわかるな。我々は無かった事にされたよ。こう何度も国の都合に左右されるとね。意趣返しの1つもやりたくなる。例え愚者としてでもいい。君の記憶に留めて欲しくてね」
吹っ切れてたんだ、心底。
「オレに伝えた位では何の意味も無い。オレが法皇家一族であったとしても?」
「子供の戯言にしかならん。が、私の溜飲位は下げられよう」
確信犯か。でも残念だね。
「聞いているのがオレだけならね」
「何?」
「今言ったよ。オレが法皇家の一族だって」
後ろを指す。
本来なら
『私達も聞いたわ、ケイン=ゴーダ。リスティア皇女と法皇たる
水晶球を睨み付ける
吹っ切れた割には、鬼の形相だよ。
「オレが誰の駒か、知ってる筈だよ」
冒険者として、貴族として。
まだまだオレは
「く、ククク…. 、こ、このガキがぁ!」
「
ぐはぁ。ドサッ。
オレの肩に座ってる
それにしても…。
「
『(
ミリシアへはパイプ役の子爵家を手にしてたよね、
どんな交渉をする事やら…。
とりあえず、フランの迷宮探索は終了。
…疲れた…。
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