第27話 ドラゴン征伐 3
「うわぁ。やっぱ、まだいたかぁ…」
グランの背から平原~麓をじっくりと見る。
「5頭って聞いてたのに。もう6頭倒したのに」
山脈登り口?なだらかな稜線の辺りに2頭のレッサードラゴン。コイツらは少し小さい?子供の個体か?まさか親が…、いた。
ちょっとデカくないか?あれ。もうレッサーというよりか
ある意味厄介。でも考え様によっちゃあ。
レッサーはデカいトカゲだ。いや、勿論ステータスはドラゴンだから。思考レベルの話ね。
エルダーともなると話せば分かるヤツもいる。子連れだから多少気性は荒いかもしんないけど。コッチは子供は勿論ドラゴンに害意はないと伝え切れればいい。
「警戒された?グラン、離れて」
オレとグランの2人がかりで挑めば多分エルダー1頭位は何とかなる…と思う。でも害意無しと説得しなくちゃいけない訳だから。ココで好戦的に見せる必要はないよね。
うん。向こうもまだ警戒はしてるみたいだけど、やはり静観してる。これは話し合いの余地があるね。
オレはブレードさん達に状況を報告した。
「
「説得出来ればそれに越した事はないわね。でも最悪時は?」
「グランとフェンの手を借りれば1頭位なら何とか」
知らない人が見れば、何を寝言ほざく?って言われそうだけど、ランクAのフェンとグランにオレも戦闘力ならAに匹敵する。
「親は無理でも子は
「あまり考えてないです。フェンリルとグリフォンでも市井の暮らしに馴染めてないのに、この上ドラゴンまできた日にゃ。エサの確保もあるし。オレもこう見えて隠れた努力あるんですよ」
プッ。クスクス。
ダガーさんって、荒くれ傭兵も熟せる割にはスゲェ可愛いんだよね。歳上女性に失礼な物言いだけど。勿論口には出さないけど。
「エサの確保。そう言やぁ考えもしなかったね。これはテイマーじゃないと分からん苦労だな」
フレイルさんが納得した様にウンウン頷く。
ホントだよ。
ゲーム内では全く関係なかったんだ。お金にしても『宿に泊まる』『武器防具を買う』『アイテムを買う』『依頼交渉』時に使う位で。
こうして現実に生活すると、寝泊まりは勿論日々の食事にも金は掛かるし、衣類の替えや武器防具の手入れ維持にも金が掛かる。リアルな異世界体験を売りにしてたゲームだと思ったんだけどな。
下位とは言え爵位を持てた事に感謝。
何せ准男爵からは貴族年金が支給されるからね。そりゃ確かに納税金とトントンだけど、地味に大きいんだよ。冒険者としての稼ぎが丸儲けになるんだから。
あはは、話逸れたね。
ま、エサは数日おきに森に放して自採りしてもらってる。
逆に言えばエサ確保の為だけの狩りが必要って事。フェンもグランも直ぐ狩ってくるから大した手間じゃないけど、この間採取依頼しか熟せない。ランクBに求められる依頼の達成は不可能に近いんだ。
これもテイマーが不遇職たる所以。
生計を立てる為の依頼を熟せない時間が出来てしまうんだから。
「ほんじゃ、交渉は頼めるな」
「ええ。何とかやってみます」
再びグランの背に揺られドラゴンの元へ。
いたいた。まだ移動してないな。
オレは少し離れた所に降りると、グランから降りて単身ドラゴンの元へ向かう。
「何用だ、小さき者よ」
「お願いがあって来ました」
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
「な、何と?既に6頭を退治なさったと?」
「これ、な」
退治の証拠。ドラゴンの部位証明は鱗と角と耳。他素材になりそうな諸々。
証明に耳が多いのは一目で分かり易いから。割増しようと両耳採っても左右が一目瞭然だから誤魔化し様が無い。だから大概の魔物の証明に耳は使われる。種の特徴もハッキリしている部位でもあるから魔物鑑定士も確認鑑定し易いんだと。
「成る程。確かに6頭分だ」
「流石はランクAの方々。本当にありがとうございます」
「あぁ、礼はまだ早い。今此処にロディが居ないのはわかるよな。彼奴は今…、その、
うん、まだピンときてないな。
「は?」
「更に子供2頭連れた竜をロディが上空からの偵察で見つけたんだが、どうも
とは言え実は穏やかな性格のモノも多い。凶暴で知られているのは『炎魔竜ビザード』位だが、此奴は10数年前に休眠期に入っている。100年位は寝てる筈。
しかもエルダーは理知的な思考を持つ。話し合いが出来る魔物だ。
「ロディマスさんが?でも魔物でしょう?もし襲って来たら?」
「彼奴の従魔はランクAが2頭いる。ついでに彼奴自身もA顔負けの戦闘力を持ってるよ。多分
「実際レッサードラゴンも彼奴が3頭倒してるし」
うん、やっぱピンときてないな。
「6頭の内俺達パーティが1頭、彼奴の従魔~フェンリルとグリフォンが1頭ずつ。で残りの3頭が彼奴だ。彼奴こそ真の
多少自嘲を込めて。
俺達は要らんかったな、そう思えるから。
何せロディと従魔で5頭倒してるんだから。それもほぼ瞬殺で。
普段は天然のガキなんだがなぁ。
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