第12話 魔物暴走 4

 お使い依頼で来ただけのフラン。

 オレは帝国の権力闘争?のせいで起こった魔物暴走スタンピートに対応すべく街の外に出た。

 依頼は果たしたのだから、とっとと街を出ても文句は言われないし、後ろ指差されることもない。

 でも、ゲーム内に転生したチートな存在としては、ココは巻き込まれるのが筋ってモン。自己満って言われても、やっぱ見過ごせないよ。


 オレはテイマーとしては有り得ない広域極大爆裂呪文エグゾフレイム魔法剣スキルを使って、暴走している魔物の群れに対抗する。オレの後ろでピクシーアリス電撃呪文ジオン回復呪文ティアで牽制や援護をしてくれたけど、羽虫魔物や鳥型魔物からアリスを守るのに、少し手が不足してきた。


「ロディ、私大丈夫だから。こんなヤツラにはやられないから」

「アリスには回復集中して欲しいんだ。だからアイツ等も呼ぼう。来い!フェン!グラン‼︎」


 ある意味やってみたかったんだ。

 呼び掛けだけで従魔はやって来る。でもオレは敢えて口笛を鳴らした。


 グルルルルゥ!

 ガゥウォオオーン!


 オレの意図通り、グリフォングランフェンリルフェンは離れた処から駆けつけて来る形でコッチに合流した。フェンはそのまま群れの後ろにいたオーガ達に襲いかかる。グランの背に乗ったオレは、少し後方に下がると、グランに鳥型魔物への対処を任せて、群れ手前の低ランク魔物に爆裂剣バニングスラッシュを放った。


 良し!これで対応は余裕になった。

「ロディ、後ろ、冒険者ギャラリーが騒いでる」

「あぁ。今のオレ、常識的に有り得ない闘い方してっから」

「ホントに良かったの?」

「うーん、どうだろ?でもよりベターな選択とは思ってる。ココでリスティア皇女と懇意になるのは帝国に住む以上、ね」

「帝国からは出ないの?」

「今ベルン王国には行きたくない。ガイアの事はあるけどさ。それ以上にマーズ達に会いたくないんだ。かと言ってそれ以外の国に行くのもどうかってね。ゴメンな、オレの我儘で」

「私達はロディと一緒にいられたらそれでいいんだよ。従魔なんだから。ロディが契約ティム切らない限り」


 回復呪文ティア掛けながら、アリスはオレに微笑んでくれる。

「切らねぇよ。この先、オレの従魔が増える事は在っても減る事は無い。そん時は死別だし絶対そんな事にはさせねぇ」

 特にアリスは、もうオレにとって必須の相棒。笑われてもいいよ。女に引かれても構わない。


 グルルルルゥ!


 空中からグランが炎の息ファイアブレスを放ち魔物を一掃しつつある。


 パシュッ!ズドドーン‼︎


 グランの炎にフェンが敢えて氷の息ブリザードブレスをぶつけたんだ。拮抗した炎と氷がぶつかり、物凄い衝撃を伴う爆発を起こし、辺りを一掃する。って、コッチにも衝撃に乗った氷の破片が来る。


炎舞剣ファイアソード


 取り敢えず身の回りに迫る氷の破片を炎を纏う剣で叩き落とす。


「ふぅ、あぶねー。でも低ランクはかなり一掃出来たな。後は…、オーク、オーガってトコか?」


 ランクCD位の中位魔物。だけど武器を持ち集団戦すら行う魔物だから、ソロプレイぼっちじゃあ会いたくない相手。


 グルルルルゥ!


 上空から急降下!グランが強襲しオーク達は逃げ惑う。オレ等にとってもだが、グランやフェンにとっては最高に美味い肉だ。倒しては喰らい付く感じ?グロいっちゃあグロいけど、捕食行為に嫌悪感なんか持っていちゃあテイマー処か冒険者やってられない。


 どうやら、これで終わりかな?

 暴走は収まりつつあるみたいだし。


「ふぅ」


 安堵と諦めと。

 もう低ランクテイマーの振りは通じない。しかも魔法剣をも駆使出来ることすらバレてしまった。後、多分クラスレベルも…。


 戦ってる最中、鑑定呪文アナライズをかけられた覚えがある。多分弾いてるから詳細はわからないだろう。でも弾くって事はレベルが高いって事。鑑定アナライズされるってわかっていれば抵抗レジストしようもある。けど、無意識で弾くのであれば、レベル差がありコッチが高位って事がバレバレ。


 問題は誰がかけたか?


 レベル5~10とかの冒険者なら適当に誤魔化せると思うけど、どうもかけたの四天騎士マジカルナイツの誰がらしい。

 ヤバい…よね?あの人達は英雄級の筈。

 つまりレベル40を超えてる筈なんだ。


「ま、なる様になるだろ」


 この件が王国にまで伝わった時、マーズ達はオレの正体に気付くか?賭けでしかないけど…。


 グランとフェンはまだ食事中だ。

 食べ終わったら野に離れていく形でオレの陰に控える様指示して、オレは街へ戻るべく歩き出す。


 ざわめきが聞こえる。


「君は一体?」


 門の前。四天騎士が出迎えてくれた。

 門内外には冒険者達。うん、警戒されてる?


 まぁ、オレの力を目の当たりにすればね。

 多分、魔物暴走スタンピート以上の災厄の筈。この街位ならばオレ滅ぼせるだろうから。


「テイマーですよ」

「そうだね。従魔がいるし。あぁ、その、言いたい事わかるよな?我々の知っているテイマーと、君はかけ離れ過ぎているんだ」

「でも、オレも言いましたよ。『母さんメーヴ教育シゴキって半端ない』って」

「フム。それと、私は謝罪しなければならない。街を守ってくれている者に対して鑑定呪文アナライズをかけてしまった」


 やっぱり…。

 マゼールさんだったのか…。


「謝罪ついでに、不躾な質問で申し訳ないが、君のクラスレベルを知りたい。レベル42の私の鑑定を弾いた。最早夢を見ている気分だ」

「…オレのクラスレベルは48です」

「………成る程。6レベルも差があるのか。弾かれる訳だ」

「レベル48?テイマーってメチャクチャ上がり難いのよね?レベル2すら殆ど会う事もないのに?」

 シャーロットさんの感嘆。まぁ、コレが殆どの反応だろうね。

母さんメーヴだから出来る教育シゴキがありまして」

 苦笑いで済ます。納得されるのは、流石魔女メーヴ

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