第10話 魔物暴走 2
「お嬢様!」
ギルドへ集まって来つつある冒険者達。
例の四天騎士達もやって来たので、自称ティアさんと合流する。
「高台からですけど、瘴気が濃くなって地響きが起こり、遠吠えらしきモノも聞こえました。
「お嬢、オカシイです。ここに熟練の冒険者がいねぇんです」
開口一番、カイルが捲し立てる。
「お嬢様、考えたくはありませんが、我々がここに来たのを見計ったように思えます」
マゼールが疑問を呈する。
うん、オレもそう思う。正解じゃね?
「そんな馬鹿な。
「人為的です。誰かが瘴気を撒き散らしてます」
オレ、口を挟んでしまった。
「君は?テイマーか?」
「コイツが言ったんです。『誰かが瘴気をまきちらしてる』って。手段は、実はわからないんですけど、目的は何となく。そこのお嬢様だと思いますよ?ティアさん?でしたっけ?」
四天騎士は顔を見合わせて、
「どうやら、コッチの素性はバレバレのようだ」
マゼールさん?リーダー格なのかな?
「さっき受付から聞いたんですけど、何でも討伐依頼があったそうです。山賊一味の根城が近くにありそうだ、って」
熟練者が見当たらない事、流石に気になったんだ。
山賊デボルド一味。
帝国西部を縄張に持つメジャー処の山賊。
首領デボルドのカリスマ性と副首領スダニモの智略によって、とてつもない被害をもたらしている。こんなビッグネームだと対処する冒険者も高ランクでないと太刀打ち出来っこない。
元々商都として名高いフランは護衛依頼が多く、冒険者も魔物相手は勿論だが対人戦闘に秀でた者が多く集まっていた。ここで有名なのは『力の剣』と言う冒険者っていうより傭兵集団って言った方が良さ気なパーティ。何せ12人いる!他にもランク中堅層がゴロゴロいる筈。
でも対人戦闘に特化していると、どうしてもレベルやランクは止まってしまう。対魔物の方が大変なのは一目瞭然。英雄級の冒険者でも相手にするのならば兎も角、普通に盗賊相手ってレベル20前後、ランクCやDで充分なんだよね。まぁ、だからこそ昇格判定試験に組まれたりしている訳で。
あ、馬鹿にしてはいないよ?
現時点でEのオレにとって、Cなんて遥かに遠い存在だ。夢憧れに近い。
ゲーム内でのオレはレベル48ランクA魔法戦士だったけど。
ま、それはさておき、そのCDランクが盗賊討伐依頼で不在な訳だ。
「デボルドか…。それじゃ確かに人手は多い方がいい。一軍率いて位の規模だろ」
「それを見越して
「多分、ティアさん達が居なかったら仕掛けてきてませんよ。それ、前提が逆です」
ガキに口を挟まれたからか?シャーロットさんがコッチを睨む。
「コイツの言う通りだな。我々がいるから暴走が起こっている。そしてお嬢様は我が身より街の安全を優先する。うん、癪だが敵の思惑に乗るしか無い。チェレンは門で壁役。シャーロットは門の上から援護及び治療に専念。他の冒険者も門の処で、コッチまで来た魔物のみ相手にして貰おう。お嬢様もシャーロットと共に治療専念でお願い出来ますか。私とカイルはアソコの平原で迎え撃つ。何とか街への暴走を反らすんだ」
ギルド職員にマゼールさんが身分を明かし対策を説明する。確かにそれが最善の策だろう。
オレの存在が普通なら。
仕方ないよね。
多分、オレが1番戦闘力が高い。何せレベル48の魔法戦士の戦闘力。
だからやっぱ口を挟む。手を出す。
「敵の思惑に乗る必要はありません。カイルさんとマゼールさんもティアさんの護衛をしつつ門で援護してください」
「オイオイ、どうすんだ?まさかお前が撃って出るとでも」
「ハイ。オレが出ます。多分、それが最善」
「テイマーの貴方が?死ぬわよ?」
波目で申し訳ないけど、オレは眼を指し示して
「分かり辛いかもしれませんけど、オレの瞳の色、察して貰えますか」
「?君は…、魔族なのか?」
あぁ、そっちを思うのか。まぁ、確かに人族には無い色だもんね。紅い瞳って。
「人族です。でも母さん譲りです」
「母さん?紅い瞳の…、まさか『
オレは頷く。
「その辺の俄か賢者よりも広域攻撃魔法知ってます。それにオレは8歳から冒険者やってる。
「広域?例えば?」
「
すみません。ホントはもっと放てます。
「テイマーの君がそれ程の攻撃魔法を放てると?」
「母さんの
あはは、納得されるところが凄いな、
「誰かわかんないけど、敵の思惑に乗る必要無いです」
オレの言葉に、マゼールさん達は頷くと、
「わかった。が、決して無茶するなよ」
オレも頷き返す。尤もオレのこれからやる事って無茶以外に表現しようがない気もするけど。
よし!オレは門を出ると平原へ向かって翔ぶ。
「アリス、しっかり掴まってろよ。
門にはマゼールさん達と幾許かの冒険者。
オレを指して何だかんだ言ってる。
「あの子は?テイマーじゃなかったの?フライトなんて中位の魔法使いじゃないと行使出来ない呪文なのに」
「流石は
平原上空。
ゴブリン中心にゴボルトやグレイドッグ、ホーンラビット等脚の速い低ランクの魔物が暴走してる。先ずは一発!
オレは角度を調整し魔物の進行に逆風になる様爆裂呪文をブッ放す。
「いけー!
ドドォーン!
爆風は魔物達に逆風となって薙ぎ倒していく。
まるで溶鉱炉のような熱量が発生して魔物達を焼き尽くしていく。
魔物の方へ出来るだけ爆風が行く様にはしたけど、少しは進行方向つまり街の方へも向かう。
「うわぁああ」
あっちゃあー。ひっくり返ってる冒険者がいる。
さて、そうそう広域極大呪文なんて放てないから次は剣での攻撃になる。
でも魔法剣が使えるオレは複数攻撃剣技をも持ってる。そう、風属性の
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