第6話 出会い 2
転生して1ヶ月。
ベルン王国に勇者が召喚されたって噂が流れた。まだ部分的にしか聞こえてこないけど、やっぱりマーズ達『地上の星』パーティみたいだ。
只気になるのは人数。
パーティが4人って聞いた。本来オレを含めて7人いたんだ。オレ抜きだから6人の筈。後2人は?どこ行ったんだ?
今のオレはゲーム時とは全てが違う。
職も外見も年齢も…、名も…。出会ってもオレだと分かんない筈だけど…。やっぱ
どっちにしろ帝国辺境に住むガキがベルン王国に行くのはかなり困難な話。気にしないって言ったらウソだけど、出来る事は無い。
で、オレはいま、街のハズレのゴミ捨て場にいる。
テイマーとしての依頼。
テイマーでしか出来ない依頼。
この街にはオレしかテイマーは存在しない。コレでも上級職だから、
あはは。自分で言っといて何か凹むよ。
目の前には
最弱でも魔物。コイツ等の酸液が付着したら服は溶け落ちるし皮膚は焼け爛れる。
でも、ティムされたスライムならば人を襲う事は無い。只ひたすら食事としてゴミを喰うだけの人に役立つ魔物になる。
今、ここにいる3匹は、普通の
「よろしく頼むよ」
プルルン、プルプル。
流石にテイマーと言えどスライムとは意思の疎通は出来ないや。まぁ、食欲さえあればOKだから大丈夫だろ。
「ね、おかしくない?」
オレは後ろから声を掛けられた。
ヤベ。ゴミ処理の件だからギルド職員立会いだった。オレの後ろにはギルドの魔物鑑定士サラさんが、目の前のスライム達を見て、信じられない様に被りを振っている。
魔物鑑定士って、依頼通りの魔物か、確認する為の人で世界中の魔物を知っているとの事。変異種等もOKなんだって。
サラさんは若手No.1の鑑定士って聞いた。
見た目は赤毛?金褐色?の髪に碧眼のやっぱ美人。ややスレンダーかな?男性主観的にはもう少し凹凸が欲しいって評判が…。
「はい?」
「何で3匹も
「え、だってスライムだし」
「そもそも貴方の従魔は、そこにいるピクシーじゃないの?なのにどうしてスライムを
うん。普通は1頭、もしくは1匹。しかも1種類。
でもテイマーはレベル10を超える頃から急にステータスが上がる。しかもティム出来る魔物のランクも格段に上がる。…そこまでが苦痛過ぎるけど。
例えば
これが彼女の言う常識。
オレはある意味常識の範囲内で、ある意味非常識な存在。何せレベル48のテイマーだから。しかも魔法戦士時の
なのでオレの魔力は魔女の息子ってのも相まって人族最高って位ある。しかも基本的に戦士系のステータス。魔法戦士って結構人外なんだよね。
「つまり、君は
後ろから声をかけられてオレはびっくりした。
ゴミ捨て場の奥、森との境の辺り。森から出て来たのか?そこによく持てるな、ってくらいの大剣を背にした偉丈夫と、腰に3本位の短剣を差したレザーアーマー軽装備の女性がいた。
まさか?ブレードとダガー?
ゲーム内でオレ達『地上の星』に匹敵する高レベルパーティ『裁きの刄』の主戦力の2人。彼等も召喚されたんだ。で、帝国側にいるんだ。
「ブレードさんとダガーさんですよね?
サラさんが確かめる様に声を掛ける。
この世界では召喚者をこう呼んでいる。転生者のオレは現地人扱いだから。
ゲーム内でも不遇職のテイマーを選ぶプレイヤーは少数派で、少なくともクリア間近の高レベルパーティには存在しない。だからブレード達にしてもオレが『ジュピター』だってわかる筈はない。
「そうだ。で、テイマーの君のレベルは?」
「聞かれて答える物じゃないですよね。でも、オレは母さんに鍛えられて8つの時からテイマーやってますよ」
冒険者登録出来るのは12歳から。
でも余程の事がないと、成人した16歳位が冒険者稼業のスタートとなる。
オレは今14歳だから、それもあって周りは
だから、幼少の身から冒険者をやってる事にした。塔に住んでる
「成る程。冒険…は兎も角、テイマーとして5~6年は経ってる訳か」
納得!っていう素振りのブレードさん。いくらレベル上がり難い
「それじゃ、従魔もピクシーじゃなくて他にも?あの森、あの塔には色んな種類の魔物がいるでしょう?」
サラさんも食い付いてくる?
「いやいや。あの塔の周りってランクAがゴロゴロいますよ?母さんなら兎も角」
予防線張っとこう。いつかフェンリルやグリフォンが見つかった時の為に。
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