第3話

トウカ:5万人規模の配信者

アキラ:トウカとナツと同じ大学のしがない同人作家


夜ラーメン

トウカ「さて、とー。動画完成ー」


アキラ『おつかれー』


(椅子から立ち上がる音)


トウカ「ありがとうー。そっちは順調ー?」


アキラ『んー、なかなか思い付かないねぇ。いいアイディアが浮かばないわ』


トウカ「あー、わかるー。ゲーム始めちゃうと全然集中できないよねー」


(袋をがさがさと漁る音)


アキラ『あ、バレた?』


トウカ「そりゃー、日付変わってすぐにガッツポーズ決めてる声が聞こえたからねー。あー、なんか当てたんだろうなーって思ったよー」


(ポットに水を注ぐ音)


アキラ『ははは、恥ずかしいね』


トウカ「新作はどんな話ー?」


アキラ『ん? 今のところはステラの大地に侵入してきたレーン一味がロイドと敵対してる感じかな?』


(包装を破く音)


トウカ「いやー、ゲームじゃなくて、君の作品の方ー」


アキラ『……あー、いやー、本当、やっぱり『クリーンスカイ』は面白いわー!』


トウカ「そっかー、原稿用紙もクリーンスカイにならないといいねー」


アキラ『やめて! 頭のなかに構想は出来てるから! 書き出せばいけるから!』


(お湯を注ぐ音)


トウカ「そっかー、頑張れー」


アキラ『ねえ、さっきから何かやってるの? 忙しいなら通話切るけど』


トウカ「えー、大丈夫だよー。3分間だけ待ってやろー」


(椅子に座る音)


アキラ『え、3分……?』


トウカ「夕飯食べてなかったからねー。お腹すいちゃったー」


アキラ『え? まさか?』


トウカ「背徳と退廃は最高の調味料だよー(写真を撮る音)」


アキラ『嘘でしょ?』


(メッセージを受信する音)


トウカ「あと1分ー」


アキラ『やめて! こんな時間のカップラーメンとか! 通話切るよ!』


トウカ「いいのー? 5万人配信者の生咀嚼音声だよー?」


アキラ『飯テロASMRはただのテロ!』


トウカ「あはは、そうかなー? ……さーて、いっただきまあーす」


(麺を吹く音)


(麺を啜る音)


アキラ『……あれ? ちょっと? もしもし? 聞こえないんだけど? トウカ?』


(飲み込む音)


トウカ「……っん、んー? 何ー? さすがにミュートにしてたけどー、もしかしてー、聞きたかったー?」


アキラ「はぁ!? えっ、いやっ! ……あぁー、もう!!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る