的外れシャッフル推理合戦#4
早朝四時。
幸樹は東響にじいろプライドの本部前で、乃夫が出てくるのを待っていた。
「幸樹君か」出てきた乃夫が、立っていた幸樹に驚く。
「乃夫さん」幸樹は頭を下げて挨拶する。「こんな時間まで、お疲れ様です」
「彰吾君のことは残念だった」
「信じられないんです」
「無理もない」
「遅くなってごめんねと、彼が謝りながら出てくるんじゃないか。起こるはずもない期待をしてしまう。心にぽっかり空洞が空いたみたいで、夜が寂しくて……」
「ずっと立っていたのか」
「ずっとではありません。でも、乃夫さんに気がついて早朝になっていた」
「今後のこともある」乃夫は思案気な顔をする。「今日は土曜日だ。もし君がよければ、幸樹君についてじっくり話し合いたい」
「いいですよ」
「行こうか」乃夫は幸樹の肩を叩いた。
二時間後、幸樹は乃夫の邸宅に居た。
ベットの上で乃夫と幸樹が縺れ合う。
騎乗位に移行した幸樹は、乃夫の肛門に勃起させた陰茎を挿入。
激しく腰を振った。
乃夫の両手が、幸樹の腹筋を割れた愛撫する。
乃夫の喘ぎが限界に達して、幸樹は射精する。
乃夫は這って自ら幸樹の陰茎を抜くと、仰向けに見つめ合った。
「足りない」幸樹が呟いた。
すかさず乃夫がディープキスをかます。
口の中で、舌が絡まって解ける。
「もっと、もっと」幸樹が口を放す。「悲しみを忘れさせて」
「忘れさせてやる」起き上がった乃夫が、幸樹を強引に押し倒す。
肛門を舐めて濡らし、右手の中指と人差し指で穴周りを解した。
乃夫主導の正常位に移り変わり、幸樹は腸壁を突かれて揺れる。
乃夫は射精した。幸樹は乃夫に、絶えず熱の視線を送り続ける。
「いいだろう、もっと狂わせてやる」
乃夫はベッドから降りると、机の引き出しから薬の包装を出した。
「こいつを使うんだ」乃夫は幸樹に、カラフルな錠剤を見せつける。
小さな錠剤はゲーム『スーパーマリオ』シリーズに登場する、無敵アイテム『スーパースター』の姿を模している。
「それは?」上半身を起こした幸樹が問う。
「上物のエクスタシーさ」乃夫が幸樹の元に歩み寄る。「純度百パーセント」
「素敵だ」
「特別だからな」乃夫が一錠手に落とし、ベッドの端に座る。
「飲ませて」幸樹は上半身を乃夫に寄せ、口を開ける。
「仕方のない奴め」乃夫は錠剤を幸樹の口に入れた。「ほら」
幸樹は乃夫の指を強く噛み、乃夫が悲鳴を飲んだ。幸樹は乃夫の腹筋にワン・ツーを入れ、締めの右ストレートで壁に叩きつける。
ベッドから降りた幸樹は乃夫の足元に錠剤を吐き、包装を奪う。
「LGBT団体のトップが違法薬物使用の常習犯とは」幸樹は乃夫を見下ろす。
「何のつもりだッ」乃夫は幸樹を見上げる。
立ち上がろうとした乃夫の顔面を、幸樹の右手が押さえつけ拘束する。
「世間様はどんな反応を示すだろうな。探せばもっと出てくるのか?」
乃夫は立ち上がろうと藻掻いたが、幸樹の力には到底敵わなかった。
「脅してるのか」乃夫は抵抗を諦観する。「珍しくもないキメセクをダシに?」
「開き直らなくていい、弁解もいらない。問題は社会的地位ある団体のトップが、法律に背いて危険ドラッグを所持していたことにある」
「返せ」乃夫は膨張した陰茎を萎ませる。
「返す」幸樹は包装を乃夫の前に投げた。
乃夫は急ぎ包装の元に這うと、疑いもなく違法薬物を回収した。
幸樹は脱いだズボンに隠していた携帯端末を取り、証拠写真を撮影する。
気付いた乃夫は激昂したが、攻撃の構えを取った幸樹に怯え後ずさった。
乃夫は再び壁に背中をぶつける。顔を滲ませた。
「どうしろと?」乃夫は憎悪に満ちた目を投げる。
「公表されたくなければ、俺を側近に置け。活動指針のアドバイスをしたい」
「傀儡にするつもりだな」
「腐敗した組織の浄化だ」
「いいとも、なってやるさ。俺のやり方が不満なんだろう」
「ずっと前から」幸樹は服を着ながら言う。
乃夫の家を出た幸樹は、携帯端末で裕征に電話をかけた。
「裕征さん、あなたの言った通りだった」
「よくやった」裕征はテレビ会議を流したまま返事し、電話を切った。
『どこで乃夫に、違法薬物使用の確信が?』榮が疑問を浮かべる。
「男娼の知り合いから情報を購入しました」裕征が回答する。
『本業は情報屋でしょう』昌民が分析する。『そっちの方で稼げる』
『売春業を営むなら』歳浦が苦笑する。『お得意さんの話には熟知してそうだ』
「ええ、お偉方の話なら、なんでも知っていますとも」
『では、東響にじいろプライドを前線基地とし』清邦が締めくくる。『戦力を集中配置させます。前線基地へ招集されなかった同志も、できるだけ近場へ呼び寄せるように』
野獣先輩の尊厳倫理蹂躙世界 るらああん @Nino612985
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