82話:ロボ戦の奮闘③




「アレが出来るようになるまで、我も頑張らねば……やはり格好良い動きじゃのう」


〈俺達を支援してくれてる人達って、あんなに凄い人達なのかよ〉


 雑魚を利用してい、隊長機の体力を一気に減らして動きを封じる。


 連携を繋げていくと最後の使う大技の威力が倍数になるので適度に雑魚を残しつつ、次のリーダー機に向けてチェインを繋げたままで攻撃回避をしながら、隙ができた瞬間に弱点部位を狙って大技を決める。



 ==あの機体って硬いはずなんだけどな

 ==なんで体力が溶ける様になくなってくんだ?

 ==弱点に集中砲火してるからだろ……俺は出来ねぇけど

 ==それに必要なのは敵を動かさない様にするテクニックも必須だけどね



 住民達が動き出し、前線に出てきているのは老兵ばかりではあるのだが、ここでは古い機体と老兵さん達の方が遥かに強い。


 紙装甲なのに攻撃を回避しながら、的確に数を減らしていくのだ。

 最新の機体に乗っている者達では、彼等に弾を当てる事は出来ないカラクリがある。


「のう、なぜ彼等はやられないのじゃ?」


「戦いながらじゃあ会話をよく聞けないか、少し説明すると、ジャミング……敵の位置がズレて見えるから、普通に撃っても当たらないんだよ」


 接近戦ばかりやっていたカミは分からないだろうけど、レーダーに映っている敵の位置は全部でたらめなのだ。合っているのは数くらいだろう。


 こっちの戦車や古い機体はレーダーにも映ってなかったりするけどね。


 殆どの動力を切って、しっかり敵が見える位置から指示を出す人がいて、一発撃って外れた位置からのズレを報告しながら修正して、敵に当てているのだ。


 このステージで狙撃するなら、熱源サーチで機体を狙うかスコープを覗き込むかの二択だ、それ以外の方法で狙っても、まず当たらない。


 敵の無線も流れてくるから、少しだけ状況が分かるんだけど、まだそこまでの余裕はカミには無いから、気付けないのも無理はないだろう。


「爺達は強いのだな」

「色々な戦い方を知ってるっていうのは、本当に強いよね」


 ある程度落ち着くと、イベントシーンに移り変わっていく。


〈ほれほれ、若いもんに負けてられんぞ〉


 砂地に足を取られる事無く、颯爽と敵の背後に回って脚部の脆い部分を的確に撃ち抜いて動きを止めた後に、遠距離射撃で他の人達が一掃していく。


 洗車はドリフトしながら、素早い動きで敵を翻弄しつつ他の人達は罠で敵の動きを阻害して援護をする。投石器なんてモノも使いながら嫌がらせもして気を散らす。


〈なにを……無様な。たったアレだけの戦力を何故蹂躙できんのだ⁉〉

〈たった二機に時間を稼がれ、オモチャの様なガラクタに負けるなど、あってはならん〉

〈こうなれば空から全部吹っ飛ばしてやる〉


 やっと諸悪の根源たる三人が出て来たな。

 終盤戦となる訳だけど、二人プレイだと航空機もあるのか……物凄く面倒だな。

 流石に厳しそうだなって思っていると、何処からともなく援護射撃が飛んできた。


「な、なんじゃ⁉」

「いや知らないよ」


〈大変そうだね、微力ながら援護させてもらうよ〉

〈全く、全国大会前になんて所で戦っているんだか、お人好しも度が過ぎるぞ〉


 親友とライバルの先輩が駆け付けてくれたんだ。

 登場の仕方が一々格好良い感じで出てくるね。


〈後ろは任せておけよ〉

〈町はしっかりと守るから、君達は大元を叩いてきなさい〉

〈支援物資だ。持っていきなよ〉


 此処からはアイテムも使えるようになる。


「ふぅ、それじゃあカミは敵の大将をよろしくね」

「任せておくのじゃ。散々好き勝手にされたからのう、この鬱憤を全てぶつけるぞ」


 やっぱりこういうのは大将同士の一騎打ちに持ち込むのがセオリーだよね。

 無粋で卑怯な残りの二機は、僕が排除しよう。

 カミの機体だけ万全の状態に戻すと、僕の機体を修理するアイテムは無くなってしまう。


「そ、それでやる気なのか?」

「まぁ考えがあってやる事だから大丈夫だよ」

「悠月がそういうなら信じるが……本当に大丈夫かのう」


 体力ギリギリのレッドラインでした使えない技っていうモノがある。


 それにレッドゲージのままだと、必殺技も真奥義までを強制的に出せるので、丁度良いのだ。元々、敵の大将が出てきたら邪魔な二機は道連れにして排除するつもりだったからね。


〈お前達が居なければ、あそこは今頃……〉

〈お仲間はボロボロか、そっちから片付けて――〉


 カミと同時に突撃して、パージした分とブーストダッシュで僕が先に支援機の二機を吹き飛ばしながらタックルをかまして、ワザとカミと大将の一対一に持ち込める様に動く。


「カミの邪魔はさせないし、君達は一々五月蠅いからね。黙っててよね」


 溜まった必殺技で一機目を確実に動かない状態にしてから、コアを使った自爆と拘束技でもう一機の動きを封じ込めてから、自爆覚悟の零距離射撃で誘爆を誘って一気に二機を先不能まで持っていく。



 ==鮮やかなじばくだったな

 ==体力ミリじゃん

 ==ドラマ展開、乙です



「ふぅ、一仕事は終えたね」





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