70話:揃った初期メンバー
「コレって誰からなのかのう」
「え~っとね……最初に発表するのは男の人だね」
トップバッターとして出てくれるらしいけど、大丈夫なのかな。
僕等がフォロー出来る範囲で助けてあげたいけど、連絡とかって取り合って良いのだろうか、ちょっとハル社長に聞いてみて、OKが出たらチャコでグループを作って全員を集めておこう。
「母さんが担当した子ってさ、どの子なの?」
「フロネちゃんよ~。このお嬢様って感じの子ね」
ロングのストレートで銀髪少女。お人形さんみたいな雰囲気に大きな辞書を抱えて居る。背も小さく、物静かな印象が強い子だ。
「おじさん一人とは、大変じゃのう」
「まだ若いよ、設定だと二十台だもん」
「老けて見える感じの人なのよ。でも良い人だったわよ」
「母さんも面接に立ち会ったの?」
「えぇ、誰の絵を担当するかって言うのもあったしね」
男の人は動画配信をしていた人だから、初めてって訳ではないらし。ただライブ配信自体は経験がないらしく、その辺での助言なんかを父さんに相談していたそうだ。
キャラの名前は、柳生五郎さん。
元々の活動はゲームの実況者だからか、ゲームはかなり上手い。ただ、アクション系は苦手としているようで、動画で撮っていたのはストーリー重視のモノや謎解き系のゲームだ。
後は、野球やサッカーなどスポーツを主体とした育成系のゲームを重点的にやっていたそうだから、その辺の知識は凄いらしい。
「こっちのスポーツ美女は? ゲームは得意なのかのう?」
ショートヘアーの活発そうな子で、綺麗でスラッとした長い脚にスタイルも出る所は出て引き締まっているお腹周りと、かなりの美女である。年齢は僕等と変わらず学生さん。
名前は、エルモさん。
「もう一人はちょっと怖そうなイメージだね」
可愛らしいではなく、キリっとした格好良い少女だ。少し不良っぽいけど、それは着崩した制服と釣り目で小さなキャンディーを銜えて両手をポケットに入れて、金髪の髪を纏めずに自然に流しているからかもしれない。
「ふふ、喋ってみると物凄く良い子だってすぐにバレちゃうけどね。かなり可愛らしい感じの子だったわよ。強気な所はあるけどね」
彼女の名前は、シェルさん。
この人達が共に活動していく初期メンバーという事になる。
『はろ~、連絡ありがとうね。グループ部屋は作っちゃって大丈夫よ。私の方で一応は全体の部屋を作るから、そこから誘って上げてくれるかしら』
「はい分かりました、こっちで準備しておきます」
さっそくハル社長がメンバー全員を集めたグループ部屋を作ってくれる。
〈積もる話もあるだろうけど、それは今後ね。何かあった時の為にカミちゃんと悠月ちゃんを召喚しておいたから、後は本番に向けての話し合いと。気持ちの整理でもしてね〉
ハル社長はそれだけコメントを打ってから、退出してしまった。
まだ気付いていない人も居る中で、柳生さんだけ速攻で現れた。
『あ~、その……初めまして柳生五郎です。本名は本社が完成して会えた時にでもという感じでお願いします。趣味は釣りとか、スポーツ観戦。それにゲームですね』
「ふふ、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。僕等の方が年齢は下なんですから」
『いや~、そう言われましてもね、登録者数は一気に抜かれてますし、やっぱりこう箱の先輩は恩霊さん達ですから。その辺はしっかりしとかないと』
今は通話を繋いでいるだけなのだが、柳生さんは話している向こう側でペコペコと頭を下げながら話していそうだ。
「一番最初に自己紹介だと決まったみたいだのう。頑張って挑むのじゃぞ」
「何かあれば、しっかりとフォローに回りますからね。泥船に乗ったつもりで頼ってくださいね。僕等に手伝える事は少なそうですけど」
『ははは、よろしくお願いします』
挨拶が終わった辺りで、続々と他のメンバーも集まって来た。
『は、初めまして⁉』
おぅ……耳がき~んとする。
「音量が大きすぎるぞ、びっくりしたのじゃ」
『あぁ~~、すみません、ごめんなさい』
謝る前に下げてほしいが、焦っている様子だから仕方がない。
それに柳生同様に相当な緊張をしている感じは僕等にも伝わってきている。
『これで、どうでしょうか?』
「うん、大丈夫だね」
『入ってきて早々に、酷い目にあったわよ。面接や合格発表後の顔合わせでもあったけどね、アナタは声が大き目だから気を付けなさいよ。まったく、そんな調子だと本番でも同じ失敗をしちゃうんだからね』
『似た経験がある人の話は、説得力が違う?』
『ごほっ、フロネは要らない事を言わない! ごめんなさい。アタシはシェル、フロネとは知り合いだから、悪乗りとなんかして止められなくなったら何時でも言って頂戴よ』
『ふふ、ご紹介有難う? 私はフロネ。よろしく?』
『自分はエルモです、スポーツ全般。体を動かす事が大好きな女の子です』
これは……随分と個性の強そうな子達が来たな。
柳生さんが若干引いてるのが分かる。このテンションに付いて行けてないみたいだ。
『これが、本物の若さか……」
「柳生さんも若いでしょう……何を年より臭い事を言ってるんですか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます