59話:カミの頑張り配信②
「それじゃあやろうか、何処まで進んだか気になるな~」
「だから別に明日でも良いのじゃぞ。なんだ急に積極的にやろうなどと言い出すのだ」
必死に証拠隠滅をしようと必死になっているカミを揶揄う様にしながら、僕等は配信を始める。明日は休みだから夜遅くまでプレイしても問題はない。
==残念だったねカミ様
==アレの証拠隠滅はちょっと無理だね~
「兄さんや姉さん達からのコメントで、何か仕出かしたみたいだけど、一体何をしたのかな? 僕としてはとっても興味がありますね」
「い、いや。別に我は悪くないのだぞ。アレは我を襲ってきた敵が悪いのだぞ」
まぁ確かにカミは整地作業をしようとしていただけ、襲ってきた敵が地面に穴やら森に火を放ったのだから、確かにカミが悪い訳じゃあ無いね。
必死に言い訳をしているカミが可愛くて思わずふき出してしまった。
「別に怒らないのに。随分と楽しそうにやってたじゃんか」
「ぬお? も、もしかして配信を見て……」
「アレは笑ったね、爆発したり森が燃えちゃったりしてすっごく慌ててたもんね」
「見てたなら言ってくれても良かったのではないかのう」
プリプリと怒り始めたカミを宥めながら、なんとか込み上げてくる笑いを抑える。
ゲームの方でも素手で僕のキャラクターを殴ろうとしてくるので、一定の距離を取りつつ、ギリギリの範囲で当たらないようにする。
「ごめんって、なんか隠してるみたいだったから気になって見ちゃったんだよ。そしたら、くふっ、くく――。はぁ、あんなに笑ったのは久しぶりかも」
凄く焦りながら、一生懸命に火を消そうとしたり、襲ってくる敵にはキレ散らかして、ハチャメチャになりながらも、僕に褒められる事を頑張ってたと叫んでいるのが印象に残っている。嬉しいやら、ちょっと気恥ずかしいやら変な気持ちだったしね。
全体的には面白いで終わったけどね。
「ボコボコだね~」
「本当はもっと綺麗にしようと思ったのだぞ」
「はいはい、そんなに頬を膨らませてないでさ。別に大丈夫だよ」
「どういう事じゃ? 綺麗に整地した方が良いのではないのか?」
「空いた穴の分は掘っちゃっても良いんじゃないかな。地下室的なのを作った方が、道具置き場にもなるだろうしね。どの道、家の近くには地下に続く道を作るつもりだったしさ」
僕の説明を聞いても、少し分からないという感じで首を傾げている。
「地下に続く道を掘っていかないと、鉄とか取れないんだよ。すぐに必要になるから、とにかく穴を掘っちゃって、初めは地下暮らしかな」
「家は作らんのか?」
「植林をしてからかな~、苗木を拾ってたでしょう。それを植えて木を生やしたりしないと、木材も底をついちゃうからさ、先ずはやってみよう」
「そんなもの取ったかのう? ……おぉ、あった⁉ 何時の間に取っておったのだ?」
「火を消そうと一生懸命に森を駆けずり回ってるときかな」
草からドロップしたアイテムが地面に落ちていて、半泣きになりながら消そうとを木々を叩いている時に拾っていたのだ。林檎なんかも持っているはず。
カミが結構な数を集めてくれていたから、探索にも問題ない灯りの用意と、簡単な拠点を作るには十分な場所の確保は出来た。
「はい、コレがアイテムを入れる箱ね。後は掘る道具のつるはしと、剣も持ってようか」
「おぉ~、次々と道具が出来ていくのう。どうやるのじゃ、早う教えて欲しいんだぞ」
「慌てなくても教えるから」
目をキラキラとさせて、画面を一生懸命に見つめているカミ。それに連動してキャラの方もソワソワとした感じで微かに動きながら、目をキラキラさせている。
父さんと母さんらしいな、好きだよね細かな表現を入れるの。相当に大変だったと思うんだけどな、こういうキャラの細かいギミックっを作るのって。
今回は僕よりもカミの方が目立っているし、僕の登録者数にすぐに追いついてくれると良いなって思っている。
一緒にやっているとは言っても、カミの配信動画を見て気付いた。
僕よりもまだ数が半分くらい少ないのだ。
その辺があって、素直には喜べないんだよね、一万人の登録者数。
祝うなら、カミと一緒に一万人を行った事を喜びたい。始めたのは同時なのだから、カミの奴だって面白い所は多いし、僕にはない魅力が沢山あるのだから。
ここからは、少しカミのサポートとして動いていこうと思っている。
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