42話【配信】:次のゲームと引っ越し先の設備③




 開始早々でカミが先ずゲームに使われている曲に惚れ込んだ。


 少し行進曲っぽいイメージのジェイポップで、ゆったりとした出だしだがサビの部分になると大きく盛り上がる。挿入歌なんかも例外なく、どハマりする事は間違いないだろう。


「かっこよい曲だじゃのう。戦っている間にながれる曲もまた良いのう」

「そんな事を言ってないで、敵を早く倒してね~」


 気持ちは凄く解ってしまうんだけど、進まないから早くして欲しい。


 二.三回のループならまだ許せるんだけど、さっきから曲に集中していて、全然動けていないのが問題だ。まさかここまでハマるとは思わなかった。


「そうだのう、このまま負けてしまっては格好も付かないのは嫌じゃ」

「僕が援護してなかったら、とっくに負けてるけどね」

「支援機とやらも面白そうじゃのう」


「後々に使うとこになるから大丈夫じゃないかな。ストーリーだと基本的に全機種をとりあえず動かす感じになるからね」


 それから自分に合いそうな機体を選んで、カスタマイズしていく事になるのが序盤だ。


 前回にやっていたゲームの動きが出来ているので回避やガードを駆使して、一対一ならば何とか勝てるといった感じだろう。


「動きが少し重く感じるのだが、もう少し早くはならんのか?」

「それはストーリーを進めていくしかないね」


 どうしたって、初期パーツは平均能力だからね。本当は少しカスタマイズを変えれば、スピードタイプにもなるんだけれど、それはまだ説明されていない。



 ==両肩のパーツを外せば良い

 ==肩のパーツ外せば早くなるね



 どうやら、知っている人が居たようだ。


「そうなのか? この部分を外せばよいのだな」


「恰好がちょっと悪くなるけどね。軽量ってなるでしょう、そうすると早く動けるようになるんだけど、その代わりに防御力が下がるし、肩に一撃でも貰っちゃうと大ダメージだから気を付けてね。一気に体力を持ってかれるよ」


 本来なら軽量ボディーを手に入れて、それらを装備する。慣れた人なら序盤程度の敵に被弾する事もないので、弱点が増えようが関係無いので早く動ける様にする人が多い。


 ただカミはまだ初心者だから、早く動けるからといっても敵の攻撃が買わせるわけじゃない。肩のパーツを外してしまうと、少しのミスで弱点ヒットの判定が出てしまい。


「ふぉ~~⁉ な、さっきよりも戦い辛いではないか! 御使い達は我に嘘を教えたのではないか⁉ ひぃ‼ 撃ってくるでない⁉ 止めるのじゃ~」


「頑張れ~、初心者はそうやって覚えていくのさ」


 僕が前回にカミが見捨てた時の様に、最低限の援護をしつつも、雑魚敵をワザと倒さずに全てカミの方に誘導していく。



 ==意外と悠月ちゃんがやってる事ってさ、凄いよね?

 ==あぁ、テクい事をやってるな。狙撃誘導を平然とやってやがる

 ==あんまり、こういうゲームをやったことないんだけど……凄いの?

 ==凄いって言うか、やってる事は地味なんだけど。狙撃手には必須なスキルだね

 ==でも難しい技術だぞ、あれって武器切り替えやら移動とかしないと

 ==それよりも、悠月ちゃんが平然と消音チェンジしてんの笑う



「悠月! お主かさっきから敵が永遠と我を狙い続けている原因は!」


 何処に隠れようとも、僕はカミの居場所を知っているので、そっちの方に物音をワザと鳴らしながら、僕は全く別の場所へと隠れていく。


 実際にコレはチームテクニックで、狙撃手や魔道機使いならば良く使う手だったりする。


「しょうがないでしょう、今の状態はカミがタンクの役割なんだから。回避が頭に着くけどね、それを選択したのはカミ自身だもんね~」


 実際、カミの機体は移動が速い分、逃げる時間を有意義に稼げている。

 後は僕がバレない位置から、敵を狙撃して急所を狙えば一気に敵を倒す事が出来る。


「ならば早く倒さぬか⁉」

「しょうがないな~、じゃあ一体だけ残すから、そっちは倒してね」

「それならば、何とかなるのう」

「じゃあね~、こっちを残すかな」


 狙いを定めて、背後から首元を狙って一発。

 次に脇辺りに弱点が見えるので即座に二発目を放つ。


「ぬぉ⁉ 急に一体が吹き飛んだぞ」

「もう片方はキッチリ倒してね。良い練習相手になるからさ」


 防御練習にもなるが、残した一帯はパワータイプなので下手なガードは命取り。



 ==よりによって、そっちを残すのかよ(笑)

 ==さぁカミ様のスキルが試されますなw

 ==防御力が高いから、適当な一撃でも入れようものなら



「弾かれるぞ! これどうすれば良いのじゃ⁉」

「弱点を突けば勝てるから、良く相手の動きをみて~」


 装甲は厚いけど、その代わりに重量で動きは鈍重。弱点部位が攻撃の際に見え隠れするから、スピードタイプになっているカミならば倒せない相手じゃあない。



 ==つうかさ、いまサラッと二連射で仕留めたよな

 ==体制崩しの首元一発、弱点を晒させてその場所に的確な一撃。



「別に僕はシューティングは得意じゃないからね。このゲームはある程度の補正が掛かるし、知っていれば誰でも出来るから。テクニックは今度教えてあげるよ」


 攻略ページとかに、密かに乗っているテクニックなので、知っている人は知っている。


「ぬぉ~、攻撃あるのみじゃ~」


 前回のゲーム感覚が抜けないカミは、殆どヒットアンドウェイで勝利してしまった。


「ある意味、カミの方が凄いことをしてるんだよな~」



 ==さすが初心者、発想が違うね

 ==ようあの動きで倒したなw






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