22話:僕達のデビュー③
話がそれてしまって、今日決めようと思っていた、リスナーさん達の呼び方だけでも決めてしまわないといけない。
そもそも次に紹介するはずのカミが此処で出てきちゃんてるんだから、初めっから色々と崩壊しちゃってるん気がするんだけどね。
「えっと、話しが脱線しちゃいましたけど。リスナーさん達のお名前だけでも決めたいと思います。ついでにカミの方も決めちゃいましょう、何か言い名前はないですかね」
とにかく今は僕の配信なんだから、頑張って主導権を取り戻さないと。
社長さんには申し訳ないけど、話しを切らせてもらった。
==ズバッと話題を切ったな
==カミちゃんは信者でいいんじゃね?
==使徒なんてもアリだろ
==御使いは?
「ちょっと、なんで最初にカミの方を決める感じになってるのさ。皆、僕のも考えてくれて良いんだよ。というかね、今って僕の配信なんだよ一応はね」
「まぁ良いではないか。しっかし色々な名前が出てくるのう。お主ら凄いな」
確かに色々と出てきてるけど、中には他の神様を呼ぶ時の名前が少し混じっている。
こうなったら先にカミのリスナー達を呼ぶ名前を決めてしまって。
それから考えてもらうしかなさそうだ。
「この中だと御使いが無難かな?」
「我もその方が呼びやすいからな、それで決定じゃな」
「カミのリスナーさん達の呼び方は決まったね。それじゃあ僕の方も決めていこう」
早くしないと本当に終わってしまう。
「さぁ、何か案はありませんかね」
==必死だな
==そりゃあ時間が迫ってるかなら
「キミらね、ノリでやってるんだろうけど本当に時間がないんだよ⁉ もう適当に感じで呼んじゃうよ、良いのかな」
「お、落ち着け悠月よ。え、笑顔が怖いのだ」
僕が微笑みながらカミに圧を掛けてやると、流石にふざけ過ぎた反省はしてくれた。
ちょっと脅し過ぎたのか、終始震えているけれど今は気にしている余裕は無い。
改めてコメント欄を見て見ると、彼等も何故か「ガクブル」というコメントが多くある。
==いい感じの冷たい声でした
==声だけで背筋が冷えたのは初めてだ
そんな感じで怯えた人達が居る中で、ようやく真面に考えてくれる人達が出てきてくれた。ただ、僕のキャラ設定のせいで少しだけ考えがバラけてしまっている。
「ん~、どうするのだ? このままでは埒があかぬのではないかのう」
カミもコメントを見ながら、僕を心配してくれている。
元の原因は貴方ですけどね。
「性別が変わるからね、確かに迷うよね」
僕が女性時の時には呼んでほしそうな名前をコメントしてくれる人たちが居て、男の時にはまた別の呼ばれ方をしたい人達も居るのだ。
それが丁度半々に分かれてしまっている。
「まぁ、仕方なしにしても……ぬ? コレはなんじゃ?」
「あぁそれはね、知り合いがコメントした時に僕等でも分かり易くなるようにしてあるんだよ。同期の子達が来たらちゃんと設定してあげようね。まぁコメントが多すぎて見逃す事の方が多い気がするけどね」
いや、というか何をしてるんだよ母さんも社長さんも……大人が二人して。
==何と言うかジト目の悠月ちゃんがデフォになってきた
==うん、あの目で見られたい自分が居るな
==え~私はちょっと弄られてる時に涙目で縋ってくる悠月君がみたい
==さっき弄られてた時の僕に構って的な感じが良いよね
コメント欄でも何やら争いの火種が灯りつつある。
『もういっその事さ、助さん格さん的な感じで二つで呼べば。女性の方を娘さん予備で、男の方を漢さん予備でさ』
「意外な所から良い案が出て来た」
『確かに意外な所から出て来たわね。でも、その方がしっくり来そうね』
「このままいくと、変な論争が飛び交いそうであるからな」
方や男か女の方が良いかで火種が生まれ、全く別の方では攻めか受けかという謎の言葉で争いが起きそうな雰囲気がある。
所々に化学式っぽいコメントがあるが、コレはきっと攻めか受けかの話し合いなのだろう。正直、まだ化学の方が分かり易いのではないだろうか。
もう魔法の呪文を言っている人達も居るので、さっぱり付いて行けない。
この論争に薪をくべたのは、母さんと社長さんなんですけどね。本人達は知らぬ存ぜぬな反応でサラッと流しているけれど、後でちゃんと叱っておきましょう。
「母さんのアイディアで良さそうだね。リスナーさん達も納得している雰囲気だし」
特に大きな反論も無さそうなので、母さんの考えた呼び方に決定した。
「はぁ……とにかく、最低限の事は出来たかな」
「呼び方が決まって良かったのう」
「本当なら配信は順番にやる予定だったんだからね! 今回はもう一緒にやっちゃったけどさ。寂しいからって急に出てきたらビックリしちゅでしょう。もう、後で反省だからね」
「はふぅ、今度から気を付けるのじゃ」
そう言ってもまた、僕と一緒に出るつもりなんだろうな
ちょっと寂しそうに俯いたカミの頭を優しく撫でてやる。
「えへへ~、悠月が頭を撫でてくれると気持ちよいのう」
蕩けた笑顔を向けられると、なんかもうちょっと甘やかせても良い気がしてしまう。
「後で反省だって言ってるでしょう」
「分かっておる」
「という事で皆さん、今回はこれにて終了です。色々とお騒がせしましたが、最後までのお付き合いありがとうございます」
「良かったらちゃんねるの登録とやらをよろしく頼むのじゃ」
なんか最後の方のコメントに「てぇてぇ」という意味の分からないコメントが大量に流れて来たのだが、とにかく時間なので配信を終了した。
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