2話:カミの初見プレイと両親の怪しい行動




「もうお婿に行けないじゃないか」

「我が許すまでは嫁じゃな。というか、我が居るから行く必要などないだろう」

「なに言ってんだお前⁉」

「それよりもげーむとやらをやるぞ。なにをやるのだ」


 カミが座りながら上半身をピョンピョン跳ねさせながら、小動物がエサを待つように見上げながら僕を見てくる。


「そうだな……どんなゲームをやりたい? 協力して任務をクリアー……成功させたいとか、勝負で勝ち負けを決めたいとか」


「ふむ……そうだな~、先ずはどんなモノかを知る為には協力してというゲームが気になるのう。どんなものをやるのじゃ?」


「オーケー、じゃあ無双系のゲームで良いよね」

「むそう?」


 やっぱり知らないっぽい。

 テレビを見るのも初めてっていう様な反応だったからね。

 コレならしっかりと楽しんでもらえそうだ。


 そう思いながら、ソフトを取り出してディスコを本体にセットしていると、何故か父さんと母さんが何やら準備をし始めている。


「なにをしてるの?」

「あぁ、気にしないで良いからね~。準備は私達がしてあげるから」

「ってかさ、父さんは何時帰ってきたのさ」

「気にするな、ちょっとな機械類は俺の得意分野だからな」

「なんじゃ? この物々しいモノは?」


 ゲーム機に繋がれていた映像端子が何故か見覚えのない小さな箱みたいな機械に繋がれ、それがパソコンに繋がれていく。


 しかも、僕やカミの座る位置の真ん中辺りに何故かしらマイクが設置されている。


「いや、本当に何してるのさ」


 興味深そうにミカはマイクをツンツンと突きながら、遊んでいる。


「ちょっとね~、今後の活動の為にね、色々と練習とか確認の為にね協力して欲しいのよ。別にね、変な事に使う訳じゃあないから」


「我は別に構わぬぞ。なんに使う道具かは知らぬがな」


 ここで自分一人でブツブツと文句を言っていても仕方ないし、時間が経てば経つほどに色々と疲れるだけだからね。


 気にはなるけれど、さっさと遊んでしまおう。


「もう電源を付けても大丈夫なの?」

「あぁ、問題なく動いているから大丈夫だ」


 本当に何をしているのやら、僕らに見えない様にしながらパソコンの画面を父さん達が眺めている、この妙な空間はいったいなんなんだよ。


「コレは、なんじゃ?」


 コントローラーを渡されて、クルクルと手元で回しながら首を傾げて僕を見てくる。


「今から使い方を教えるから」


 少しおかしくって、微笑ましい行動に保護欲と言って良いのか面倒を見てあげたくなってしまう。使い方を丁寧に教えていき、持ち方から何から教えてあげる。


「ふむふむ、理解したぞ!」


 後は決定ボタンやキャンセルやら戻り方なんかを教えて、攻撃の仕方なんかも説明していく。連携や技がどう変わるかを教える。


 一回だけプレイを見せて、どんな感じのゲームなのかを説明すると、物凄いはしゃぎまわりながらゲーム画面に近付こうとしたので、慌てて止めに入る。


「凄いのう、なんだこれは動いておるが、こ奴はお主が動かしておるのだろう? どうなっておるのだ? 人形遣いか?」


「違うけど、違くないような……って、とにかく画面に近付き過ぎるのはダメだからね。目に良くないし、僕だってゲームがし辛くなるし邪魔になっちゃうから!」


「ぬぅ、そうか、確かに妨害してはダメであるな、すまなんだ」


 すこしだけシュンとして、謝ってくれる。


「いや、分かってくれたなら良いから、とりあえず今は大人しく座って見ててね。色々と教えてあげるから、一緒に遊びたいんでしょう」


「うむ、しっかりと聞いているぞ、早く我もやりたいからのう」


 トタトタと指定されて位置に座って、大人しく待ての合図をされた犬の様だった。


 一通りの説明を終えると、少し詰め込み過ぎた様で唸りながらも必死に覚えようとしているが、オーバーヒートして頭から湯気でも出そうな勢いだ。


「じゃあやってみるけど、見た目で気に入ったキャラか、もしくは早く動けるとか、使いやすいとか、力で圧倒したいとかあるかな」


「そうじゃな、ドバ~ッと吹っ飛ばせるヤツがよい」

「とにかく動かしながら覚えようか」

「そうじゃそうじゃ、やりながらやった方が覚えるしの」


 プレイできるとなってすぐに元気を取り戻して、ハイテンションになっていく。

 絶対にコイツは説明書とかを読み飛ばして、後で困るタイプだろう。


 まぁ、ずっとお預けしている訳にもいかないし、分からない所が出てきたら、僕がその時々で教えてあげれば良いだけだろう。


「こうして見ていると、良いお姉ちゃんになるわね」

「元々が面倒見の良い性格だからなぁ~。下手に女子力が高くて、偶に戸惑うぞ俺は」


 外野が少しだけ五月蠅いが、今は無視だ。

 とはい何時も、少しだけ父さんの方を見て睨んでしまった。

 父さんが「おっと」と言いながらすぐに口を噤んで、手で口元を覆い隠す。


「じゃあカミはこのキャラを使うと良いよ」


 初心者にも使いやすく、攻撃範囲も広い歴史上で大暴れした武将を選んであげる。


 それに僕自身が友達と遊ぶ時なんかに使っていたので、レベルや能力値が全て限界まで育て上げられているキャラクターなので、早々にやられる事はないだろう。


「じゃあ始めようか」

「うむ、楽しみじゃ」


 物凄くはしゃぎながらプレイしているが、どうやら、カミのプレイスタイルは体が無意識に一緒に動きながらプレイするタイプらしい。


 ジッとせずに、攻撃のタイミングでコントローラーが前に上にと動き回っている。


 騒がしく遊んでいるが、物凄く楽しそうにプレイしている。




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