#22

思ったより左側を歩いていた。住宅地の広くはない道。車なんて滅多に通りもしない。

だが堂々と真ん中を、さも王様かのようにズカズカと歩くことは気が引けた。

日本人としてのサガだろうか。


この一帯は昔ながらの家屋が立ち並ぶ住宅街だった。見渡しても背の高いマンションなどは見当たらず、瓦屋根と生垣と塀が目立つ。


日はまだ高く、正午を過ぎたばかりだ。ぽかぽかとした陽気と爽やかな風が眠気を誘う。


野良猫やシジュウカラものんびりとしている。


歩を進めると、左手に敷地の広い豪邸に差し掛かった。

中を覗くことは出来なかった。それ相応に塀も高いのだ。目線よりも高い。


後ろから塀の上を颯爽と移動する者がいた。先程の野良猫か。


野良猫は私の横に並び立つと、こちらを向いた。

そして、大きく口を開けて欠伸をしたかと思うと、姿勢を崩した。

どうやら春の陽気に当てられ、夢へと旅立ったらしい。


この豪邸の塀を我が物顔でくつろぐ野良猫に、なんとも言えない図太さを感じた男だった。




















――猫がねころんだ

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