#21
補修もままならないボロ長屋に、一体何人住んでいるのだろうか。
生まれも育ちもバラバラな、恵まれない子ども達の住む孤児院。心優しい年老いた神父の元で暮らしていた。
そんな孤児院だが、それほど裕福ではない人間たちからの支援を受けていた。
彼らもまた、神父に育てられた元孤児だった。恩義を忘れず、しばしば食べ物や日用品を差し入れていた。
今日も綺麗な服を着た青年がやってきていた。
荒んだ反抗期の新参者もいた。なまじ物心が着いた後に捨てられてしまったばかりに、周囲と馴染めずいた。
「こんな所にいたって、なんの意味もない」
「どうしてそう思うんだい?」
「小綺麗な身なりのお前にはわかりっこないだろ」
敵意を剥き出しにすると、青年は笑った。
「何がおかしいんだ」
「昔の僕にそっくりだよ。僕はここの出身なんだ」
「・・・」
「そうだ、お土産を食堂に置いてきた。君はフルーツが好きかい?大した量はないけれど仲良く分けておくれ」
――ぶどうをひとつぶどう?
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