#7

いってきます・・・。

今日は静かに戸を開く。


僕はあやとりが好きだ。ハシゴやタワーの手順を覚えて再現することも、適当に試して何に見えるか、後から考えるのも好きだ。


でも登下校まであやとりで遊んでいることがお母さんに見つかって、取り上げられてしまったんだ。

しかも今日は委員会で下校も遅かった。


すっかり肌寒くなり、日が落ちるのも早くなってきた。

枯葉を踏むのもドングリを蹴飛ばすのも、あやとりほど面白くないなぁ。

カラスもうるさいし。


ふと目をやると、真っ黒なあやとりがあった。夕日をバックに逆光で黒目立ちした電線であることに気がつくのはすぐだった。

君はいいよね。僕が見る角度を変えるだけであやとりができるんだからさ。


すっかり夢中になり、電線を辿りながら帰路についた。

家の目の前で足を止める頃には日も沈み、黒は藍に溶け込んでいた。


登下校のお供の代替品を見つけた喜びと、それに対する親近感で気を良くし、勢いよく玄関の戸を開いた。


ただいま!



















――以心電信柱

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