#8
隆丘の上に佇む弟子に向かって挨拶を投げやる。
「月下の晩秋に決闘を申し込もうとはな。貴様にも趣というものが芽生えたか」
色なき風が頬を激しく撫でる。だが老剣豪が声を上げると、聞き入らんとばかりに辺りに凪が訪れた。
「銀色に輝く叢薄には証人になってもらいたくて」
月を眺めていた彼奴がこちらに振り返り、そう言った。
「証人?」
「ええ、私が師匠を超えた、という事のですよ」
「フン、何をふざけたことを。ワシとワシのスーパー正宗IVに勝てたことなど一度もなかろう。御託も五目も並べるの好まぬ。さっさとかかってくるがいい!」
そう叫ぶと同時に大仰に抜刀し構える。
あぁ、なんて美しいワシのスーパー正宗IV。月明かりが反射して更に美麗さを増しておる。
「参ります。いざ!」
弟子も駆け出しながら抜刀する。それを見て、握りしめた柄糸にじっとりと汗が染み込んだ。嫌な予感がする。いつもと違うと勘が告げる。
二度切り結ぶ。たったそれだけで違和感の正体を掴んだ。ニヤリと笑う彼奴の手にあるのは。
「最新の・・・アルティメット村正∞・・・さては貴様、新しい
――刀を買ったな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます