第8話

サンドイッチを持ってきてくれたあの日からもう3日経つが、あの子はまだ、飽きずに毎日来てくれていた。その間特に何も無く、ただただ、他愛ない話ばかりが続いた。

俺たちにとって、いや、俺にとって屋上は、死ぬためじゃなく、この子に会うための場所になっていた。

実は昨日、衝撃の告白があった。なんと彼女は、女性だったらしい。あの一人称には、意味があったのだろうか...

ちなみに、彼女と呼んでいるのは、別に付き合っている訳じゃなくて、ただ葉月翠を指すときの呼称だ。



今日はいつもより少し時間が遅れてしまったが...もし先に来てるなら、待たせてしまっているかもしれない。そう思いながら、俺は屋上への階段を急いだ。



そこには、もう葉月の姿があった。





......!?


え......葉月...?


彼女は。



彼女は、屋上の縁に足をかけ、今にも飛び降りるところだった。



急いで駆け寄る俺に振り返った彼女の顔は、涙に濡れていた。


遅かったからか、俺が来ないと思っていたとでもいうように、俺の顔を見て動揺していた。

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