第4話

俺の名前は、斉原さいはら ひろむ

歳は今年で39になる。

俺は、16か17のときに、もう忘れたが、何かの理由で声を失ってしまった。失声症、とかいうやつだ。

医者に見てもらいはしたが、半年もすれば治ると言われ、もうかれこれ20年くらい経ってしまった。

21で良い妻に出会い、そこからすぐに籍を入れた。

しばらくしないうちに、妻のお腹に命が宿ったが、

なぜだかそれを機に俺は捨てられてしまったようだ。

職場から帰るともう妻の姿はなかった。

そこから誰にも何も話せないまま、年月だけが経ち、今に至るというわけだ。

この声のせいで、生活にも支障がありすぎる。とにかく不便だ。

少し決断が遅いとは思うが、俺は自殺を決意した。まぁそりゃそうだろう。この状況で普通の寿命分の生活ができるほうがおかしい。


ただ、いざ死ぬとなると、怖くて飛び降りられないのが現状だ。明日は死ねるといいが...

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