第17話 友達
「邪神とは数千年前に現れた邪悪なる神々の総称よ」
ルシファーの口から邪神とはなんぞやと語られる。僕はそれを息を呑んで聞いていた。
「一度ならず、幾度と世界を支配し、その度に人々や魔神によって滅ぼされた神々。完全に滅ぼすことは出来ず、どの時代にも必ず邪神とその眷属達は世界の裏側で暗躍しているわ」
と忌々しそうに語るルシファー。ルシファーがこんな表情をするのは、僕と出会ってからは初めてかもしれない。
「ルシファーは邪神と戦ったことがあるのかい?」
「ええ。何度も戦ったわ。眷属諸共滅ぼしたと思っていたけれど、この時代にも存在していたのね」
「その……ルシファーは高位の精霊かと思っていたのですが、今の口ぶりを見るに別種の何かなのでしょうか?」
カエデの言葉に、僕は思わず両手で口を覆ってしまう。カエデにはルシファーが魔神で、僕が魔神の器ということは内緒にしているんだった……!!!
「ええそうよ。この際だから言ってしまうと、わたしは魔神よ。そしてレイヴンは、私の契約者で魔神の器よ」
ななななな……なんてことを言うんだルシファー!?
それは僕とルシファーだけの秘密……というか、人にバレたらいけないんじゃないのか!?
「なるほど……事情は察したのです。確かにこの国の人物に聞かれるとよくない内容なのです」
と言いながら、カエデは魔法を使う。何か事情を察したみたいだけど、僕にはサッパリだ。
「私達に魔法をかけたのです。音を偽装し、会話内容の誤認識させる魔法です。余程の使い手でなければ、見破られる心配はないと思うのです」
確かにカエデの魔力を感じる。カエデが魔法を使ったのは紛れもない真実だろう。
「僕は忌み子だ。魔神の器という呪われたスキルを与えられ、その、魔神の生贄にされたんだ」
「……この国ではそうなるのですね。邪神信仰がされているこの国では」
もしかして、魔神の器である僕が忌み子って呼ばれ、生贄にされたのって。
「気が付いたわね。この国にとって都合が悪いから、お前様は生贄にされた。
ただ誤算があったとするなら、魔神の器がどういったスキルなのか伝承されず、頑丈さを知らなかったところかしら」
確かに、魔神の器がめちゃくちゃ頑丈になるスキルだと知っていたら、わざわざルシファーのいるところに落としたりしなかっただろう。
ルミナス王国では魔神や邪神に関する書物や知識は一般的ではなかった。よほど博学な人か、学者でもない限り知っている人はいないだろう。それくらいの専門性、悪く言えばすたれた知識だった。
だから、僕は生き残ることが出来て、ルシファーと契約出来た。疑問があるとすれば、なんで邪神にとって都合の悪い知識や、警戒しないといけない情報が廃れてしまったのか。
「邪神や魔神と言った存在は、とにかく記録が少ないのです。事が数千年前ですし、それ以降は邪神も魔神も息を潜めてしまったですから」
「私みたいに封印されている魔神も多いでしょうしね。邪神も何度も滅ぼされている以上、残せる記録にも限界があるから、私達の記録が少ないのも仕方のないことなのでしょうね」
数千年前の出来事になるとそれこそ神話の時代だし、そんな時代の詳細な記録なんて残っていないのは仕方ないだろう。
「レイヴン君のために言っておくと、私は君が魔神の器だったとしても、それを言いふらしたり、君を誰かに売ったりしないって君に誓えるのです」
「それは僕がカエデの命を助けたから?」
僕の言葉に対して、カエデは小さく笑いをこぼしながら。
「いいえ。もうレイヴン君と私は友達だし、それに魔神が悪い存在ではないって私は知っていますから」
僕はカエデの言葉に何度救われているのだろうか。そうか、こういうと分かっていてルシファーは。
「私も信頼できない人物に話したりしないわよ。少なくとも、カエデは信頼における人物だと思って話しているのよ」
「そうだよね……取りあえずこの話は終わりにして、彼らのところに戻ってこいつらを討伐した事を伝えよう」
伝えずに去るという選択肢もあったけど、みんなを不安がらせたままにさせるのは良くないだろう。せめて討伐出来たと一言言うべきだと思ったから、僕は困っていた人々のところへ戻るのであった。
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