第16話 スキルの使い方

 僕はルシファーの戦いを、心を奪われたみたいに、あるいは没頭するみたいに、集中して


 その理由はルシファーの戦いが美しかったから。

 もしくは、戦いの中に、古代魔法を使いこなすために必要な物があると思ったから。


 ルシファーがメインに使う魔法。斬撃を発生させる魔法は、間違いなく古代魔法だ。僕と違って、魔法名を唱えることなく、ルシファーはそれを使える。


「まだ……僕は古代魔法の理解が足りていないということか」


 そう呟く。古代魔法への理解が足りていないから、ルシファーみたいに古代魔法を使いこなせないのだろう。


「レイヴン君、どうかしたのですか? 何か考え込んでいるみたいですが」


 ゴズとメズが倒されたことで、ゾンビ達も消滅したみたいで、戦いを終えたカエデがこちらにやってきた。


「いや、何でも……ないわけないか。カエデはスキルを授かった時、その力を使いこなすために何か意識していたことはあるかい?」

「スキルを使うために意識していたこと……ですか」


 カエデは顎に手を当てて考え始める。数秒後、カエデは口を開く。


「大体のスキルには、そのスキルについて記された書物があると聞いたのです。

 ただ私の場合は特殊なスキルでしたので……使いこなすためには色々と試行錯誤したのです。私の故郷ではスキルを授かるのも早かったので」


「地道な努力が一番っていうことか……って、スキルは十八歳で貰える物なんじゃないのか!?」


 ルミナス王国ではスキルは十八歳で貰える物だったし、それが世界の常識だと思っていたけど……カエデの見た目的にその、十八歳より上には見えないし。


「私の故郷では十歳から十八歳の間ですね。後、レイヴン君に何か勘違いされているみたいだから言っておきますけど、私、十八よりも年は上なのですよ」


 え……


「えええええええ!!? てっきり、僕と同年代なのかと!!! じゃ、じゃあこれからはカエデさんって……」


「いえっ! レイヴン君は私の命の恩人! さんなんて付けなくてもフランクに!! それに私達」


 カエデはニッコリと笑って。


「私達友達で仲間でしょう? 堅苦しいのは抜きなのですっ!」


 友達で……仲間。そうか、僕らは友達だったんだ。じゃあ、それなら、うん。


「それなら敬語は不要だよね。そういえば、メズの魔石なんだけど」


 僕は魔石を取り出してカエデに見せる。カエデの表情は一変し、ありえない物を見ているみたいな表情だ。


「過去にゴズとメズの魔石は見たことあるのですが、こんな魔力感じなかったのです。これは」


「その魔力は邪神の物よ」


 戦いを終えたルシファーがそう言ってくる。ルシファーの表情は忌々しい物を見ているみたいだった。


「邪神ってあの?」


 カエデはルシファーにそう聞く。邪神——ルシファーが度たび口にしていて、恐らくルシファーの敵であるということだけしか知らない。


「恐らくカエデの知る邪神と、私の言う邪神は同じよ。お前様は知らないみたいだから、いい機会だわ。少しだけ話しましょうか」


 ルシファーの言葉。僕の中で緊張が一段階上がった気がした。



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