第13話 vsメズ-開戦-

「ブルアアアアア!!!!」

「ブモオオオオオ!!!!」


 僕らが駆け出すのを見て、ゴズとメズも走り出す。牛の頭をした魔物——ゴズはルシファーの方に、馬の頭をした魔物——メズは僕の方にくる。


「魔弾≪バレット≫!!!」


 僕は魔力を手のひらに集めて、魔法を発動する。それは先日交易路のど真ん中に大穴をブチ開けた|魔弾≪バレット≫の魔法。それは超高速で発射され、メズの頭部へと真っすぐ飛んでいく。


「ブモゥ!!!」


 メズは手に持った大槍で、僕の魔法を弾き飛ばす。メズの動きはそれだけに留まらず、大槍を大きく振り回して、薙ぎ払うように攻撃を仕掛けてくる!


「~~~~ッ!」


 上体を反らして攻撃を回避した時だ。僕はその攻撃の破壊力を目の当たりにする。


 ズガガガガガアアアアアン!!! という轟音。大槍を薙ぎ払った時に発生した衝撃波が、ゾンビの大群を一掃し、それらと戦っていたカエデを襲っていた。


「重ッ!!」


 カエデは何とか刀でそれを防ぐが、数メートル後方にぶっ飛ばされる。無事にカエデが着地したのを見て、僕は視線をメズに戻す。


 メズが疲労している様子はない。どうやらあの攻撃力が、メズにとっての普通。何発攻撃をさせても、メズの体力が尽きることはないだろう。そして、直撃を貰えば、いくら【魔神化】で強化された身体とはいえ、痛手を負うはずだ。


 つまりこの戦い——。


「長期戦は不利。出し惜しみなくガンガン魔法を使うっ!!」


 身体を真っ二つにされたはずのゾンビ達も復活しつつある。カエデはそれで手一杯で、ルシファーもゴズとの戦いで余裕はないだろう。


 僕はこれを一人で倒す必要がある。Aランクオーバーの魔物を、だ。


「あいつらを見返して、最強を目指すなら、こんなところで足踏みは出来ないよね」


 僕は自分の目的を思い出す。

 ルシファーの羽根を集め、最強を目指す。

 僕を追放したエンデュミオン家を見返す。


 それが奈落の底でルシファーと話した目的だ。


 神経を研ぎ澄まして、心から湧き出る無数の感情を魔力に変える。次はこちらのターンだッ!


 


 

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