六月
幸せへの道①
23日(月)
今日から3日間、期末テストです。中間テストの結果は、私らしく、30点台がほとんどでした。得意な国語では、48点を取ることができました。レベルの低い話ですが、平均点くらいの点数が取れれば私は嬉しいです。
あいちゃんは、さすが塾に通って勉強を頑張っているだけあって、とても成績はよかったようです。順位だけは教えてくれませんでしたが、点数はすべて教えてくれました。私には到底届かない成績でした。ほとんどの科目が90点を超えているのです。私の想像ですが、順位は10位以内に入っているのではないかと思います。
「のぞみん、私が教えてあげようか?成績上げたいっしょ?」
「いいよ別に。あいちゃんだってたくさん勉強したいんだから、私に教えてる時間がもったいないでしょ。」
「人に教えるから自分が学べるということもあるのよ。」
「じゃあ、お言葉に甘えようかな……」
「そうこなくっちゃ!」
私はあいちゃんに主要5科目をレッスンしてもらいました。あいちゃんはいつも楽しそうでした。でも、私の気持ちは晴れません。当然のことです。だって、紗希姉を探しに室堂へ行く日が、刻一刻と近づいているのです。
私の頭には、姉のことがまとわりついていました。今頃、私が勉強している間にも、長女の友希姉は妹を養うために病気を抱えながら働いています。いつどこで発作に襲われるかわからないという予期不安を抱えたまま、出社していきます。私だけがのんびりしていていいはずがないのです。セーラー服を着て毎日学校に通えていることは、ほかでもない友希姉のおかげであり、幸せなことなのです。私はテストが大嫌いですが、そのテストだって、受けられることは幸せなことなのです。
幸せとは何か。もし国語のテストでそれについて論述する問題が出たら、いい点をもらえる文章を書けるような気がします。
さて、今日のテストの話に戻りましょう。
今日は、3時限で、1時間目は自習でした。科目数と日数の関係で、初日の1時間目はテスト勉強の時間なのです。私は必死に音楽の勉強をしていました。今日の試験科目は、音楽と社会でした。
社会が、あいちゃんに教えてもらったかいあって、自己最高点が取れたかもしれません。嬉しい!本当に嬉しい!
社会は覚えるだけの科目だと思っていましたが、あいちゃん曰く、理解する科目だそうです。数学も国語も社会もすべて、理解することが勉強することだそうです。
反対に、音楽は完全に暗記ゲーです。授業内でリコーダーで演奏したアルプス一万尺と、鑑賞の授業で聴いたブルタバというクラシック曲について出題されました。短期記憶に叩き込んだおかげで、こちらは平均点くらい、まあそれなりの点数が取れた気がします。
明日は保健体育と技術家庭と数学です。
私の大の苦手な数学です。
でも、せっかくあいちゃんに講義してもらったのですから、なんとしても自己最高点を出したいと思っています。
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