あの日の夜の活気

午前0時を過ぎた郊外の街はアルコールの混ざった活気がありました。コンビニの前に胡座をかいて座る青年が一人。彼こそが、私が依頼をしたお相手です。

「あの、奥田晴嵐さんで、ございますか?私は、その、連絡した、希望です。」

「おお、そうか。……ところで、お前、何歳だ?」

「12です。」

「ガキか。まさかとは思うが、小学生じゃないだろうな?小学生にしては大人びているが、事実だけは、ちょろまかすことはできても誤魔化しはきかないぞ。」

「いえ、中1です。まだ0時なので中学生なら許容範囲だと思いますが。」

「そういう問題か?」奥田さんはまた舌打ちしました。

このやり取りが、奥田さんと私の、最初の会話でした。

「一応、始めに言っておくが、俺のやってる商売は世間様にきちんと認められたものじゃない。裏社会のネットワークを駆使して、人でもなんでも、探し物は一手に引き受ける。それこそが俺の生業だ。お前さんは確か、お姉ちゃんを捜していると言っていたな。どんな事情があるのか知らないが、まずは家族のことをなんでも教えてくれ。」

「わかりました。

家族構成は、私と姉が2人、姉妹だけで暮らしています。姉2人とは父親が違って、歳も、上の姉とは10歳、下の姉とは9歳離れています。

上の姉は友希といって、22歳です。私と下の姉を養うために高卒で働いています。母が17歳の時の娘なんです。

下の姉は紗希といいます。21歳で、大学4年生です。バイトをしながら学業を頑張っていて、勉強は大の得意です。奨学金を使って有名な旧帝国大学に通っています。

そして私、希望は、中学1年生で12歳です。さき姉と血が繋がっているとは思えないバカですし、運動もからっきしです。」

「お母さんやお父さんのことは?」

「母は友希が就職してすぐに、男の人と一緒に出ていきました。父親は、わかりません。母は男の人をとっかえひっかえしているんです。」

私は奥田さんとあいちゃんを会わせました。「話」をするためには、奥田さんの存在が、私にとっては欠かせなかったからです。

2年前あの日、奥田さんと初めて会った日のことを、鮮明に思い出しました。

「依頼したいのは、紗希を探すことです。紗希は失踪してしまったんです。」

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