少しずつ、少しずつ
16日(水)
今日の学活の時間では、修学旅行のオリエンテーションがありました。6月4日から2泊3日の日程で東京へ行きます。東京はかつて何度も訪れた場所ですが、私は当時あまりに幼かったため、全く覚えておらず、実質初めて訪れることになります。
オリエンテーションの最中、私は頭痛持ちなので具合が悪くなってしまい、保健室へ向かうことになったのですが、そのとき倉沢さんが私に付き添ってくれました。彼女のあたたかみは私にとって久しぶりに感じる人間の優しさだったので彼女と親友になりたいとはっきり思いました。このような感情に対する対処法をまだ自分は身につけていないことに気付かされました。
17日(木)
彼女と私はお互いニックネームで呼び会うことになりました。今日からは、私が倉沢さんのことをあいちゃん、あいちゃんが私のことをのぞみんと呼ぶのです。のぞみんという渾名で呼ばれたことはないので新鮮な感覚です。
18日(金)
今日の朝、「のぞみん、おはよう」とあいちゃんに声をかけられました。私も彼女に「あいちゃん、おはよう」と返したのですが、この渾名はやはりしっくりしません。こう呼ばれることに慣れるのはまだしばらく先のことになりそうです。
21日(月)
今週は教育相談、という名の二者面談週間です。この1週間は生徒一人一人に20分ずつ時間が割り当てられ、担任の先生一対一で話をするのです。目的は生徒の悩みを把握し、解決することにあるのですが、私はこれに意味があるのかは疑問に思います。なぜなら、本当にどうにもならない悩みというのは、よっぽどのことがない限りは他人に打ち明けられないと思うからです。しかし、これのおかげで授業は4限までで終了し、早く帰宅することができます。放課後の自由時間が増えるのでよい機会だと思いあいちゃんを遊びに誘ったのですが、塾が忙しいといって断られてしまいました。
あいちゃんは勉強はできる方ですが、それは努力の賜物であると思うと、塾ばかりの過密スケジュールをこなしている彼女がなんだか不憫に感じます。
22日(火)
部活の仮入部期間が今日から始まりました。3年からいきなり入部することに意義を感じられないので、私は帰宅部になるつもりです。
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