愛してくれてありがとう
紫田 夏来
四月
新年度は始まった
9日(水)
今日は始業式でした。いよいよこの学校で三年生としてのスクールライフが始まります。当たり前のことだけど、知っている人が誰もいなくて寂しいです。
でも、一人だけ私と仲良くしてくれそうな子がいました。彼女の名は倉沢藍子さんといいます。彼女は転校生の私に、私のことを根掘り葉掘り聞いてきました。
私は、倉沢さんと友達関係を作れたら嬉しいと思います。
11日(金)
今日は席替えがありました。みんなテンションが上がっていましたが、私には何がそんなに楽しいのかわかりません。だって、ただクラスメイトの着席する順番が変わる、ただそれだけではないですか。
そんなことはともかく、嬉しいラッキーが起こりました。倉沢さんと席が隣になったのです。これは仲良くなるチャンス。この機会を逃すわけにはいきません。
14日(月)
今まで数日間、彼女の様子を見ていますが、どうやら倉沢さんはいつも一人で過ごしているようです。私の前の席の、いわゆる陽キャの女の子に聞いてみたら、確かに倉沢さんには友達がいないようでした。理由は、由緒正しい家の子だからだそうです。誰も、お堅い家の子とは仲良くしたくないのです。
そんなの、おかしいじゃないですか。全くおかしいです。これは何としても、私は倉沢さんの親友になりたいと思います。
15日(火)
今日は今年度初めてクラスでレクリエーションをしました。始めに二人組を作って腕相撲を行い、今度は勝った人同士でまた試合をします。それを繰り返して、最終的に最強を決めるということをしました。
ペアを作るとき、私は全く困りませんでした。倉沢さんがペアになってくれたからです。倉沢さんに感謝です。やはり、私たちは友達になれるような気がします。一度彼女を目が合ったとき、お互いにはっとして、すぐに目をそらしてしまいました。私たちの関係はまだまだです。
また、倉沢さんの腕っぷしの強さには驚かされました。私の腕力は人並み程度ですが、あっけなく彼女に敗れてしまいました。
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