『時間の国のお嬢様』 P.17~P.25
また一つページを捲れば、一組の少女が背を向け合い、寂しそうに顔を伏せているイラストが一面に描かれていた。少年は狭めた目で、絵本の続きを読み進めてゆく――――――。
――――ある日のこと。
なんと、一人の男の子がこっそり宮殿にしのびこんだとのうわさが!
「おねえちゃんたち、助けて!」
宮殿をまもるナイトに見つかりたくなかった男の子は、たまたまいた前と後ろの女の子たちに声をかけます。それは、『
二人はう~ん……、とこまりました。男の子をどうしよう? というなやみもそうですが、おしゃべりをしなくなった相手と近にいるという気まずさのほうが大きかったのでしょう。
けれど「そんなの知るもんか」とでも言うように、男の子は二人のそでを引っぱります。
二人のお嬢様はやれやれとこまりながらも、男の子をとっておきのお部屋へと案内しました。
すると、
「ねえねえ、ぼくとあそぼうよ!」
男の子はニコニコしながらそう言います。
うんん……しょうがないなあ、『
そしてまた次の日。
なんと、きのうの男の子がまたまた二人の前にあらわれたのです!
「おねえちゃんたち、今日もあそぼ! ぼくといっしょに! なかよしの二人見たい!」
『
しばらくして。
毎日のように遊びにきていたあの男の子は、パタリと姿を見せなくなってしまいました。
「どうしたのかな?」、そう思った二人のお嬢様。やがてギモンは不安に。二人は勇気を出して声をかけあい、男の子のおうちへと一緒に向かうことにしました。
そして二人はつらいことを知ってしまいます。
――――男の子がすでに、天国へ旅出っていたということを。自分が病気で助からないと知っていてもなお、『
「おねえちゃんたちがなかよしで手をつなぐとこ、はやく見てみたいなあ」
――――たしかその一言が、二人が聞いた男の子のさいごの言葉でした。
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