第6話 のじゃロリは隠れ猫好き
われはこの路地の支配者であるミーちゃだニャ。
「まったく……マサルのやつ大金を手にした瞬間引きこもりおって。これじゃあ以前と変わらないではないか……。このままではわし、神界に帰れないではないか! なんとしてでもわしがあやつのだらけきった心をビシッとせねば」
われはあいつのことを知っている。
最近、われのテリトリーの周りをうろちょろしてる生意気な小娘。まぁ、まだわれのテリトリーの中には入ってきてないから手は出さない……。もし、われのテリトリーに入ってきたらそのときは……。
「ひゅ〜ひゅ〜〜ぴゅ〜!!」
「にゃ」
あ、あいつ。なんの躊躇もなく入ってきたのニャ!? それもバカみたいな口笛を吹きながら!!
「おい子分たち!! あの小娘を取り押さ……」
な、なんなのニャ!?
急にわれの脇になにかが引っかかって、その勢いで体が浮いていくのニャ!?
「お主。わしのことを捕まえようとしてなかったか?」
われの頭の上からいつの間にかいなくなっており、正義の猫パンチをしようとしていた小娘の声が聞こえてきた。
ニャ!?
ま、まさかこやつ……。われのことを持ち上げて脅してわれの支配域を奪おうとしているのだニャ! ニャフフ……。絶対にいいようにされないのニャ!!
われは「キリッ」とした自分と思う、一番怖い目をして小娘の顔がある上を向く。
「われはお前のことなんて捕まえようとしてないのニャ」
「のじゃ? お主……。喋れるってことは、上位猫族じゃな?」
小娘はわれのことを見ながら喉を唸らせてきた。
ニャッフ〜ン……。
こやつなにも知らないふりをして、われのすきをうかがっているのニャなな……。
ニャ……ニャフン!
われには、そんな見えすいた作戦はお見通しだニャ!! われを誰だと思ってるのニャ……。われはこのテリトリーの頂点。ミーちゃ様にゃぞ!!
「黙るのニャ!! われはお前の作戦にはのらないのニャ!!」
「……お主。何言ってるのじゃ?」
小娘は先程までの面白いものを見つけたバカなような顔から、真剣な顔になりわれのことを見てきた。
こやつ……。見た目はただの小娘だと思ってたのニャが、こやつ意外とやり手ニャな……?
「ニャフフフ……。お前、5歳児のくせにわれのことを欺こうとしてるのかニャ! われはお前なんかに騙されないのニャ!!」
「お主今。わしのことバカにしたか?」
その見た目からは想像もつかないほどどす黒く、低い声がわれの耳に囁かれた。
われはその声を聞いて毛が逆立ち、身の危険を感じたので逃げようともがいたが体は完全に小娘に固定され逃げれなかった。
なのでわれはブルブルと震えながら口を開く。
「し、してないかも〜しれないし、したかも〜しれないのニャ」
「わしにそんな見えすいた嘘、通じるわけないのじゃ! いざ、覚悟ぉおおお!!」
「ニャぎゃやややや!!!」
いきなり小娘の両手から力が入り、われはただ悲鳴を上げることしかできなかった。
■□■□
「ほ〜ら……お主。わしのことバカにしたんだのじゃな? もう早く白状するのじゃ!」
「ニャ……ニャフ。われの負けだニャ。われおま、あなたさんのことバカにしたのニャ。ごめんなさいなのニャ。も、もう勘弁してほしいのニャ」
われは小娘に負けとても屈辱なのだが、小娘に向かって頭を下げた。
まさかこんな小娘がわれの弱点である、首周りを攻めてくるとは……。流石に予想外で対処しきれなかった。
「うむ! お主はちゃんと謝れて偉いのじゃ! 」
「も、もう……われのこといじめたりしないのニャ?」
「そんなこと、一度許した相手にこの神であるわしがするはずなかろう。ほら、早く」
「か、神?」
たしかにその卓越したわれに対する攻撃はまさに神のような技だった。だけど流石にそんなこと……。
われはなにかの聞き間違いなのだろうと思い、その両手を広げたぺったんこな胸向かって飛び乗る。
「おっとっととぉ〜……。のじゃ〜……。わし、触っていて思っていたのじゃがお主。なかなかいい毛並みじゃな!」
小娘はわれのお腹に顔をすっぽり埋めながら言ってきた。
「ニャ……。ま、まぁそれほどでもなにニャ」
われは、自分のお腹なんて吸うようにされることなんて初めてだったので、どう反応すればいいのかわからず曖昧な言葉を言った。
「わしは隠れ猫ファンでの〜……。それはもう数多の
にゃんこを触ってきたのじゃが、お主は一番ふかふかなのじゃ!」
小娘はわれの体をいやらしく撫でながら、目をキラキラさせ言ってきた。
「そ、そんなこと……。それほどでもないこともないのニャ!」
「のじゃ〜……。ふかふかなのじゃ〜」
「ニャニャフンくすぐったいのニャ」
小娘は顔をわれのお腹にスリスリしながら満足そうな言葉を言いっている。
……この小娘、一体なにがしたいのニャ!!
われは今起きている状況と初めて感じる、お腹がくすぐったいということに今までにないほど困惑していた。
「よいではないか。よいではないかなのじゃ〜。そんなこと気にするまでもなのじゃ〜……のじゃん」
「そうなにかニャ……」
「そうなのじゃ。そうなのじゃ。…………む? 何じゃお主。おシャンティなブレスレットなどつけおって……。これじゃあお主の体のラインが台無しなのじゃ!」
小娘われの腕を掴みながら言ってきた。
「あぁそれはわれたち猫族の長に代々渡されるものニャんだけど、われは長なんかしないで奪い取ってきたやつニャ!」
「む? これはまさか……。ほほう……わしはとてつもなく運がいいようじゃ」
小娘は「ひひひ……」われのブレスレットを見ながらぶきみな笑い声をした。
「なんのことだニャ?」
われはなんで小娘がそんなにブレスレットのことを気にしているのか気になって聞いてみた。まぁ、ほんの少し、ほんの少しだけどわれの体よりも気になるものが気になったりもした。
「はっはっはっ……。なんだっていいのじゃ。お主はとりあえず、今日からわれたちの仲間なのじゃ!」
「ニャ……ニャフン?」
急に小娘はわれを向かい合う形に抱きかかえ言ってきた。
当然だが、われはなんで小娘がそんなに興奮しているのか意味がわからず、間抜けな声を出して猫として100点満点の顔をして首を傾げてしまった。
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