のじゃ口調のポンコツ神と行く異世界救済!〜死んだら意味がわからないままバカと一緒に異世界に飛ばされました。願いを叶えてもらうため神からもらった【盗賊】スキルで異世界を無双(予定)して旅をする!!〜
第4話 巨大魔物ヨズミーヤに挑む若き冒険者たち!!
第4話 巨大魔物ヨズミーヤに挑む若き冒険者たち!!
「ぎゃやややや!! 嫌じゃ嫌じゃ!」
「うおおおお!!」
なぜ、依頼を受けに来た俺たちが奇声を放ちながらえたいのしれない巨大な生物から逃げているのかは、ほんの数分前に遡る。
■□■□
俺たちはあの後すぐ、依頼の紙で見たたまたま近くにあった村に行った。
依頼を出した村長が言うには、ヨズミーヤという魔物が出るのは村を挟んでいる巨人の森にいるらしい。
ちなみに魔物というのは人間に襲ってくる生物全般を言う。
その巨人の森はとても危険だが、周りの奴らを刺激をしなければ死ぬことはないらしい。
今思えば、「周りの奴ら」という言葉に疑問に思うべきだった。だが、報酬金額に心が奪われていた俺たちにはそんな言葉など届くはずがなかった。
「よし、金じゃ金じゃ!!」
トッティのその言葉と同時に、俺たちは冒険者で魔物の討伐をするにも関わらずなんの武器も持たずに巨人の森へと足を踏み入れた。というよりは、武器を買うお金がなかっただけなのだが。
「しゅ……しゅご〜!!」
「あぁ……本当にすごいな……」
俺たちが周りをキョロキョロして不審者のようになっているのも無理はない。なにせここにあるすべての、目に見えるものすべてが人間のサイズではないからだ。
俺はこの場所が、巨人の森とはよく言ったものだと関心していたとき事件は起きた。
「は、離すのじゃー!」
後ろからトッティの悲鳴を聞こえてきた。俺は慌てて後ろを振り返る。
あったのは、トッティの派手な髪色とおんなじ色の細長くネバネバとした液体を垂らしている棒状のフニャフニャしたもの。そしてそれが、トッティの両手両足を拘束していたのだ。
「今行く!」
俺は慌ててそのピンク色の棒状のものをトッティの体から引き離そうとした。
だがなぜか、足がすくんでその場に立ち止まった。
「な……。早くわしのことを助けるのじゃ!」
トッティは俺がピンク色の棒状を引き離すのを急にためらっている姿を見て、目の前で鼓膜が敗れるほどの大きな声で叫んできた。
今の俺にはどんなに大きな声でも聞き入れることはない。そう、俺はどこか見たことのある目の前の光景に既視感を覚えていた。
女性のことを拘束する、フニャフニャと意志があるのかのように動くピンク色の棒状。そして、その棒状の生物のようなものからは粘液のような気持ちの悪い液体……。
「これってまさか……」
触手!!
俺は日本で現実に起こるはずのない光景を目の当たりにし、自身の性癖には抗うことはできずその場に正座してしまった。
「おい! 何してるんじゃ!? 早く助けるのじゃ!!」
「しっ……。そんなことになっているのなら俺のことなんて忘れて集中してくれないか……?」
「お主、何言ってるんじゃ?」
「…………」
トッティがジト目で見てきたが、俺の精神は揺るがない。
「はぁ……。無視するんじゃな……。まぁいいのじゃ。お主の助けなんて必要ないのじゃ。ふん! あれ……? ふん! ふん! ふん!」
トッティはいきなりそれっぽい息使いを始めた。
俺はとうとう念願のプレイが始まったのだと嬉しく思ったが、途中でその違和感に気づいた。
「ふん! ふん!」
そう! 頬が赤くなっていないのだ!!
いやいや。
触手に捕まえられ、どうにか抵抗しようとするがでも逃げることはできず嫌でも興奮させられる女のはこんな鼻息じゃないだろ。
俺は自身の心に冷静なツッコミをいれ、純粋にトッティが何をしたいのかと疑問に思っていたときには口が開いていた。
「お前何してるんだ?」
「おっかしいの〜……。なんで神の力がつかえな・い・ん・じゃ!」
「――ブチ」
「お? おぉ〜! 外れたのじゃ! 全くなんなんじゃこのへんな生物は……」
「おい、のじゃロリ。今、なんか聞こえちゃまずい音しなかったか?」
「…………? してな」
「ドスドスドスドス……」
トッティが否定の言葉を口にしていたとき、急に触手のちぎれた木の奥から大量の足音が近づいてきた。
「グギョヨヨヨ!!」
「おい、のじゃバカ。この変な鳴き声は俺の空耳じゃないよな?」
「た、たぶんわしの耳にも聞こえてるし空耳じゃないのじゃ……」
二人同時に木の幹から顔を少し出して……。
「ぎゃやややや!! 嫌じゃ嫌じゃ!」
「うおおおお!!」
■□■□
そして現在に戻る。
トッティを触手から救い出さずに見ていた俺が悪いのか? そうなのか?
「やぁ!」
「わっ!」
急にトッティの逆から男に声をかけられびっくりした。俺は慌てて、顔を向ける。
「お前……誰だ!」
隣にいた人物の顔には一切見覚えがなく、特徴を上げるとしたら顔が整っている。ぞくに言う、イケメンという人種だ。
「僕は君と同じく、冒険者さ!」(キラン☆)
男は顔の位置を一ミリも動くこのことなく俺の質問と言えない命令口調な言葉に答えた。それも、大量の巨大な魔物に追われているにもかかわらず余裕の笑顔のようなものを浮かべながら。
「いや……。そんなこと知らないから……」
「ははは。それもそうだろう。僕も君たちが冒険者だとは知らないからね。ははは!」
「はぁはぁ」
俺はずっと全力疾走しているので男の言葉に返事する余裕がなくなってきた。トッティはというと俺の前を走っており、少しづつ距離が離れていく。ただ俺の持久力がないだけかもしれないけど、俺より早く走っている。
「これもなにかの縁だ。今君たちは、とても苦しそうだ。さすがに仕事を奪いはしないが、少しだけでも手伝いはさせてもらえないだろうか?」
「あ? はぁはぁ……。好きにしろ!」
俺は男が言っている内容なんて聞き取れるはずもなく、適当に返事した。だが男は満足したのかにっこり笑った。
「あぁ……。任せてくれ!!」
「んあ? おい! なにしてる!?」
男は急に足を止め、腰にかけていた剣を抜き取り、巨大な魔物たちに一人で立ち向かおうとした。俺はそれを見て、正気ではないと思い思わず俺も足を止めてしまった。
「ジーラ」
その男の言葉と同時に手に持っていた剣から光が帯びる。その光は空中に槍のような形となる。そして矛先は、俺たちのことを守るかのように魔物へと突き立てられた。
「ヨギョ!?」
「……じゃ〜?」
「……へ?」
いつの間にか隣りにいたトッティは俺と同じように顎を上げることができず、口を開けたまま呆然としていた。
「グヨヨヨ……」
一瞬にして、俺たちのことを追ってきていた魔物は倒された。
だがまだ奥の方からスライムのような粘液をペタペタと地面につけて、こちらに少しづつ近づいている魔物がいる。
「ボスはさすがに君たちのものだ。では僕はこれにてさらばだ! ははは!!」
男はその言葉と同時に目の前から姿を消した。まさに光の速度でどこかに行ってしまった。
「なんじゃったんじゃ……あやつ」
トッティは「ぽけーっ」とした顔のまま口に出していた。俺はその言葉を聞いて、「それな」と言い続ける。
「まぁ、初心者思いの優しい冒険者ってことにしよう。それより今は、この目の前の巨大スライムちゃんをどうやって倒すのか考えないとな」
「なんじゃ? スライムなんてどこにも……。ってなんで目の前にいるのじゃ!! 本当にお主の緊張感のない言葉は何なんじゃ!?」
トッティは俺の言葉にようやく今の状況に気づいたのか、なぜか自分が気づいていなかった理由を俺に責任転換してきた。
「何って言われても困るんだけど、今はそれどころじゃないだろ」
「そうじゃな……。はっ! そういえば、神界にあった図書館の本にはこういう奴らにはコアがあると書かれておったのじゃ」
トッティは遠い昔の記憶を思い出したかのように、今までにないほどに早口で饒舌に喋った。
「それ本当か? そうか。コアか……。コアって人間で言う心臓みたいな感じか?」
「そうじゃ。動くネバネバとてコアがないと動けなくなり、ネバネバすることもできなくなるのじゃ」
「コアって絶対、あの中にあるよな……。あれの中に入ることってできるのかな?」
「――シュウ……」
下にあった木の残骸はスライムの体に入った途端ヤバそうな蒸気を発しながら、またまたヤバそうな音を立てながらその残骸はスライムの体の中で溶けていった。
「うん。入るのはダメそうだな」
「そうじゃな。次はの手立ては……ないのじゃ」
「ないのかよ。初めてお前が役に立ちそうだったのに、結局は役立たずなんだな」
俺は少し、少し大きくなった神としてトッティの背中が頼りになるのだと思っていたが、その言葉を聞いて落胆した。
「なぬ〜! その言い方はひどいのじゃ! あのネバネバを倒すためのわしの知識がなかったら、今頃お主もネバネバになっているところなんじゃぞ!?」
トッティは「プンスカ」という効果音がなるほど真っ赤な顔をしながら、肩に力を入れ怒ってきた。
「倒す方法は知らないくせに」
「なんじゃその傲慢な態度は!? わしは神じゃぞ!」
「はいはい神様仏様。どうか無知な私にあのネバネバを倒す方法をご教授ください」
俺はこのままではずっと言い合い続けてしまうと思ったのもあるがさすがに面倒くさくなり、両手を合わせこすりながらトッティに見下ろす形で拝んだ。
本当に、スライムの移動速度が遅かったのが唯一の救いだ。もし俺たちを襲っていた魔物のように速かったら、今頃俺たちは溶けているだろう。
「まったくしょうがないの〜」
トッティは俺の言葉と行動に気分を良くしたのか、腕を組みありもしないぺったんこな胸を張った。
本当にこの神はちょろいな。
「そうじゃのぉ〜……。わしらで今あやつに対抗できる手札はお主のスキルしかないのじゃ」
「いやスキルって言っても俺のは……」
そう俺のはよくわからないスキル、盗賊。
以前、トッティはスキルに堕ちていた俺のことを助けてくれた。だが、実際俺のスキルはどんなものなのか見当がついていない。
俺はスキルを使うために「盗賊でぃあ!!」と奇声をあげてみたり、「ふふふ……。俺様の盗賊団はどうだ?」と顔をりんごのように真っ赤にしながらトッティに話しかけてみたのだが、スキルはなんの変化はなかった。今すぐにでも忘れたい黒歴史だ。
「以前お主にスキルはランダムだといったのじゃが、そのすべてのスキルは戦闘用なのじゃ。じゃから、なんか盗賊スキルで戦うことができるはずじゃ。ほら……盗賊だから盗むとか!」
「そんな簡単に言われてもなぁ……。コア……。盗む……。むむむ」
俺はトッティに言われたとおり、取り敢えず集中するため両目をつむり「盗む」と言う言葉を自分自身の心に言い聞かせる。
「ん? お主の右手に持ってるそのおっきな球体は何なんじゃ?」
「右手ってなんのことって、何だよこれ!?」
手の上にあったのは真っ黒な大きな球体と、緑色のローションかのような液体。
「グ、ヨ、ヨ、ヨ……」
「ネバネバ死んだのじゃ」
「えぇ〜……。スキルの覚醒よくわかんねぇ……」
俺たちは勝ったという実感があまり湧かなかったが、一千万もの大金を手に入れてしまったのだ。
■□■□
「すげ〜……」
「あの巨大の森にいると言われているヨズミーヤを倒してくるなんて……。こいつらは本物の英雄かよ……」
依頼の紙の少し上にある、ある魔物の討伐成功の張り紙。
ここにいる冒険者たちは皆、顔を上に上げながらその『ヨズミーヤ討伐成功』と書かれた張り紙を見て数々の言葉が交わせられていた。
ある者は「これは捏造だ」だの。ある者は「これはギルドの隠蔽行為だ」と。だがその真偽は、すべて冒険者の妄想。この張り紙があるということは冒険者ギルドの者が正式に見に行って判断したものだと言う証拠なのだ。もし嘘だといったときには自分の冒険者としての仕事がなくなる。なのでたとえ嘘であっても、誰もギルドへ直接言う人間はいない。
「のぉ……。他人に褒められるのってこんなに気分がいいものなんじゃな」
トッティは小声で俺の耳に囁いてきた。
ちなみに俺とトッティは目立ちすぎると面倒くさくなると思い、冒険者ギルドのすみで顔を隠しながら座っている。
「別にあんまり褒められめないだろ……。みんな俺たちが倒したことは嘘だって言ってるぞ」
早くこの場から立ち去りたいのだが、まだ金を貰っていない俺たちは受付けがあくのを待つしかない。
はぁ〜……。大金がもらえるというのにまだ時間がかかると思うと悲しいな。
「はぁ〜……」
俺はため息をつき、下を向き周りには気づかれないようにふてくされていたら不意に肩が叩かれた。
「マサル様。トッティ様。ギルドマスターがあなたたちのことを奥でお待ちです」
俺が顔をあげるとそこには、俺たちの唯一の冒険者ギルドで親しい? と言える人物。初めて受付してくれたかわいい受付嬢がいた。
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