デー………遊び前夜
第32話 30万人達成①
◆
愛莉が1人暗躍している中、何も知らない健一は無事家に帰るとコンビニ弁当を食べて夜ご飯を済ませてから櫟の部屋に来ていた。健一が櫟の部屋に来ている理由は、勿論── YouT○beの件だ。
それ以外でもやり取りはするが今はYouT○beの事で大事な話があるという事で櫟の部屋に集まっていた。
その大事な話というのが──
「三丈君、ついに我々の「くぬぎ丘のたけやん」チャンネルの登録者数が、なんと──なんと!………30万人を超えました!!」
櫟は溜めたと思ったらそんな事を健一に伝えてきた、言われた本人は──
「マジですか!!いや〜20万人いった時はその内30万人も夢じゃないと櫟っちと話してましたが、結構早く達成出来ましたね!!」
──と、物凄くはしゃいでいた。
健一は彼女の事は諦めて櫟と一緒にYouT○beを頑張ろうとしていたのだ。1年前に適当に投稿した動画がバズった辺りから健一達の動画は急成長していった。今となってはまだ企業とかから話は来ていないながらも登録者数も30万人も超え、おすすめ欄に「くぬぎ丘のたけやん」が出る程の人気?You○uberになっていた。
──実は健一が通っている星宮高校の生徒達の間でも有名になっていたりする。まぁ、案の定友人が少ない健一はそんな事は知らないが。
でもその動画の伸びが若干怖かったので、自分達は慢心しない様に、見てくれる人を飽きさせない様に色々な企画を櫟と考えて動画を投稿していた。 この頃は10万人、20万人と生配信のライブ形式でやっていた為、今回の30万人達成もライブ形式で雑談ライブでもやろうと今、話し合っていたのだ。
──ここで少し嫌らしい話をしてしまうと、当初健一が言っていた収益についてもウハウハとは言わないが広告を付けたおかげで収益を得る事が出来ていた。
それは思っていたよりもかなりの額で最初健一と櫟は驚きの連続だった、今はそれにも少し慣れて出た収益は2人で山分けしている。幸い健一と櫟の二人はお金にがめついと言うこともなく、しっかりと二人で話し合い分杯できていた。
「そうなんだよ、これはかなり喜ばしい事だ。ただ、そこで今回も前回の20万人達成の時と同様に生放送で雑談ライブをしようと考えているけど、三丈君は出来そうかい?」
「全然大丈夫ですよ!もうかれこれ生放送も3回目ですからね……やり方も慣れましたので──炎上をさせないようには頑張りますよ」
そんな風におちゃらけて言っている健一だが、生放送以外にももう何本も動画を撮り、投稿して全世界に動画をお届けしてきたので、慣れたものだ。──この頃はフリ○ザの声真似も板に付いてきたところだ。初めは恥ずかしがっていたが、今は自主的にやってたりする。慣れというものは恐ろしいものだ。
「──そうか、三丈君がいけそうならTwi○terで30万人達成の雑談生配信を近々やる事を告知しておくよ。それと、いつやりたいとかの要望はあるかい?」
「別に、自分はいつでも良いですよ?テストがあったとしても、俺、こう見えて地頭はいいんで勉強に時間は取られませんからね!」
そんな風に櫟の質問に自慢げに答えた。今、健一が言った通り勉強は得意なのだ。目立たない様に出来るだけ平均点を取る様に努力はしているが、その代わりかは知らないがスポーツはからっきしだが。
その話を聞いた櫟は「そうだったね」と笑っていた。
「じゃあ、生放送をする日時は恐らくここ1週間の間にやると思うけど、また近くなったら僕の方で三丈君に連絡するね?」
「はい、お願いします!」
愛莉との偽彼氏というものはあったが、それは学校の構内だけの事だと健一自身思っていたので軽く了承した。──ただし、愛莉はそんな事を一言も言っていないのに健一は勘違いしているのだ。
今は何も知らない健一は後々から後悔するが、それはまだ先の話だ。
「生放送の内容は今回も雑談がメインだと思うけど、以前の20万人の時に企画としてTwi○ter内でリクエストBOXを作ったじゃないか?あれに視聴者の皆が次何の企画をやって欲しいかを入れてもらって、30万人の時に1番良いものを健一君に決めてもらって──それを次の動画1発目の内容にするのはどうだい?」
「そうです、ねぇ。ちょっと考えさせて下さい」
「うん、時間はあるから好きなだけ考えてくれ、動画内で話すのは僕じゃなくて三丈君がやってくれるからね」
櫟から健一はそう聞かれたので、考える事にした。
(──今、櫟っちが言っていた案は良いと思うんだけど、正直この「くぬぎ丘のたけやん」のチャンネル登録をしている人達がリクエストしてきそうなモノは既に分かるんだよなぁ………)
健一はいそんな事を内心で考えていたが、今言っていた通り大凡視聴者が何をリクエストされるか健一には分かっていた。
それが──「外に出ろニート」という内容だ。
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