第36話 武藤要、自由を賭ける
「自由になりたいよ!!!」
要の叫びは今までの偽物の自分からではなく、本当の自分からだった。
「それは理想か?目標か?」
朱雀は決定的な質問をする。
しかし要は言葉は出ず、手のひらを握りしめた。
「そうか…なら自分で勝ち取れ。主体がお前ならあたし達は協力する。」
朱雀は要に腕を掴む。
「だから、今は眠れ。」
朱雀の言葉を聞き、直ぐに要は気を失った。
朱雀の全力の攻撃を浴び続けたからだろう。
でも、要は凄く安らかな顔をしていた。
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―地上。
「明、お疲れ。」
地上に降りてくる朱雀とかぐやはハイタッチをする。
「正直こんくらいは許容範囲なんだけどなぁ…。」
朱雀はこれから起こる事にすごい抵抗していたがかぐやの押しが激しすぎて折れる他無かった。
「とりあえず最大のピースは手に入れたじゃない。」
「そうだけどさぁ…」
朱雀は躊躇いの姿勢を見事に顔に表現しているがかぐやはそれを無視して言う。
「じゃ、計画を立てましょうか。」
かぐやはニヤリとした悪魔的笑みを浮かべて言った。
「玄武をぶっ倒す計画を。」
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―3時間後。
「…ん?うちは何処で寝て…?」
要は目を覚ましたらしい。
そこでかぐやと朱雀は会議をする…なんて事は無く、パ〇ドラをしていた。
「やっぱりノーチラスは最高やな!」
「あっかぐ〜同じ青髪でもレ〇になれない奴が起きたぞ〜。」
「レ〇が誰が知らんけど腹が立つのは何故かな?この10割赤メッシュ。」
起きて早々朱雀に蔑称で呼ばれる要。
というか10割赤メッシュは悪口なのだろうか。
しかしかぐや達は微塵も気にしてないらしく、起きて早々手書きのプリントが渡された。
「あんたにはこれをやってもらうから、相手に怪しまれない今日中に練習しといて。」
一体どんな無理難題があるのだろうか…と顔を顰めてプリントを見ると…
たった2項目しか無かった。
「え、これだけで良いんですか?」
要はあまりにも簡単な内容で疑問の声を漏らす。
「ええ、手短にやらないと第2章を後5話くらい追加しないといけないから。」
理由が過去一酷いが要にとっては好都合だ。
「それじゃ、要にこれやるよ。」
そして朱雀からイヤホンが渡された。
「…これなんですか?」
「練習している内に分かると思うから今は知る必要無いわ。」
やや暴論な気がするが気にしている暇は無い。
「じゃ、早速練習を始めるぞ。」
そうして、要と朱雀は直ぐに''ある練習''を始めた。
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―夜、玄釉最上階。
「遅かったじゃないか要、一般レベルの月の民を殺すくらい訳ないだろう。」
要の目の前にいるのは玄武。
のれん越しだから姿は見れないが圧倒的存在感を放っている。
しかし、要は屈しなかった。
「親父、うちはもう限界です。人を殺させたりするのは耐えられないです。」
要の苦情を玄武は笑う。
「でも、お前はもう手を汚したんだろ?手遅れなんだよ、要、お前は。」
「うちはかぐやさんを殺して無いです。親父との奴隷契約も解約したいです。」
玄武の皮肉に対し要は真剣な目つきで言う。
「お前は自分の立場を忘れているようだな。俺の気分1つでお前の首は―
玄武の脅しに要は割り込む。
「もちろんただでとは言いません、ゲームで決着を着けましょう。」
「ゲームだと?」
要の意外な物言いに玄武は首を傾げる。
「うちと親父で決闘をしましょう、勝った方が互いに賭けるものを手に入れられるというルールで。」
「要、もう一度言うが自分の立場が分かっているのか?それにお前が賭けられる物なんて無いはずだ。」
玄武の言葉を聞いて要はニヤリと笑った。
「ありますよ、親父達の喉から手が出る程の物が…」
そして要は間もなくして叫んだ。
「うちの賭けるものは!朱雀の命です!!」
37話に続く…
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