第27話 かぐや姫、最大の事態に巻き込まれる

「武藤要は能力の無い落伍者だ。」



朱雀の言葉で全員が黙り込む。

「…朱雀、もう1つ聞きたいことがある。」

1つの疑問は解決した。

なら気になる事はあと1つだ。


「どうして2人は仲が悪いの?」


「……それは―

朱雀が答えようとした時、隣で何かがちぎれる音がした。

「……!!」

武藤要から出される高圧力の流水が縄を切り裂いたのだ。

「おい!要!」

朱雀は要を捕らえようとするが間に合わない。

「さようなら、かぐやさん。でも近いうちに会えると思うから。」

かぐやと玲愛に薄い笑顔を振りまいた後に朱雀の方を向く。

「朱雀、次会った時は覚悟しなさいよ。あんたを徹底的に潰してあげるわ。」

要はそれだけ言って、屋根に飛び移り、そのまま走り去った。


「…どうするのよ。」

しばらくしてかぐやは朱雀に聞いた。

「とりあえず悪いように報告されるのは確定だな。」

「何他人事に言ってるんですか…。」

意外に軽い朱雀に玲愛が突っ込む。

「というか明、なんであいつと仲悪いのよ。」

かぐやは朱雀に再度問う。

「それは……」

朱雀は少し考えた後に言った。


「あいつの生き方が好きじゃないからだ。」


「生き方?」

生き方というのは性格、行動に直結する。

朱雀は要の何が気に入らないのだろうか。

「明…それはどういう―

かぐやが続いて問おうとした時、玲愛が焦燥に満ちた顔で叫んだ。


「かぐや様!早く部屋に戻りましょう!想像以上にマズイ事になってるかもしれません!」


「それってどういう………。」

かぐやは少し考えた後に何かに気づいた。

「…!?玲愛、明!急いで戻るわよ!」

「え?わ、分かった!」

3人はすぐさま立ち上がり、かぐやの部屋に向かう。

かぐやの部屋までは走って3分と言ったところだ。

「明!あんたはわたし達に合わせる必要は無いから思いっきり走りなさい!」

「何が何だか分からないが…分かった!」

かぐやの叫びに合わせて朱雀は全速力で走る。

「玲愛!あんたは直ぐに銃を作成して!わたしは弾丸を作るから!」

これは本当に緊急事態だ。

もしかしたら今までの努力が全て破壊されてしまうかもしれない。

「ぜぇ…はぁ…つ、ついた…。」

かぐやはもう満身創痍だ。

「明、あいつは、''要''はいた?」

「要だと?いや、いなかったぞ?」

かぐやは「はぁー」と安堵の息を漏らす。

しかし数秒後、玲愛の叫びでその安堵は崩れ去った。

「かぐや様大変です!」

玲愛は本当にマズイみたいな顔をして言った。


「重要な書類達が全部消えています!」


28話に続く…

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