第26話 かぐや姫、玄武家を知る

「なるほど、そんな事があったんですね。」

ここは玲愛の部屋。

青き少女が気絶したあと、朱雀とかぐやはその少女を玲愛の部屋に連れ込んでいた。

「というか何でわたしの部屋なんですか?」

「そんなのわたしの部屋にある書類とか見られないために決まってるじゃない。」

かぐやは当たり前だろ、みたいな風に返すが実際は書類というより小説ばかり置いてある。

「あともう1つ聞きたいことがあるんですが…」

玲愛は少し顔を赤らめて言う。


「なんであの子亀甲縛りなんですか?」


「ムー!ムー!」

いつの間にか起きてたらしい。

少女は見事な亀甲縛りで天井から吊るされている。

逆にこれは起きてた方が羞恥プレイな気がするが…。

「朱雀先輩のリクエストだからよ。」

玲愛は朱雀の方を半目で見つめる。

「玲愛、お前は年齢制限がどうだらと言うつもりだろ?安心しろ、これは小説だ。如何に扇情的姿になろうとこれは全年齢対象になる!」

「いやなりませんよ。なったら困りますよ。いざPTAされたら確殺なんですよ?」

「うぐ!確かにそうだな…ならせめて木馬で…」

こいつらはさっきから何の話をしているのだろうか。

バカA、Bを無視してかぐやは青き少女に話しかける。

「ねぇ、あんた何者?朱雀と随分仲悪そうだけど。」

腑に落ちない点は色々あるがまずはこれだろう。

「ムームムームーム。」

少女は答えているのだろうがガムテープがそれを阻害する。

「朱雀、ガムテープ外していい?」

「ダメだ、こいつは120%嘘をつく。こいつの虚言癖であたしの耳を腐らせたくない。」

相変わらず酷い言いようだが青き少女は身体ごと横に振っている。

「ムー!ムー!」

「仕方ないわね…外すわよ。」

ベリっ!

青き少女に貼り付けられたガムテープを外した瞬間少女の咳払いが響いた。

かぐやは何かを察したのか朱雀に問う。

「朱雀あんた…ガムテープで鼻ごと抑えたでしょ。」

「さーて何の事だか。」

こいつはやべえ、と思いながら改めて青き少女に問う。

「で、あんた何者よ。ちなみに嘘ついたら隣の奴にセメントで固められるわよ。」

少女は咳払いを終えた後に名乗った。

「こほん、うちの名前は武藤要(ムトウカナメ)です。お見苦しい所を見せて申し訳ございませんでした。」

現在も絶賛お見苦しい最中だがまぁいい。

「武藤?聞いた事ない苗字ね。どこの家生まれよ?」

「玄武家出身のものです。」

玄武家と言ったら玄武率いる地球北部気象操作委員会だ。

しかし、それ以外の事はよく知らない。

それにこの少女には何故か苗字がある。

でも、苗字と名前があるのはかぐやの知る限り地球経験者の朱雀明くらいしかいない。

この女も地球経験者なのだろうか。

「朱雀、なんでこの子苗字あるの?もしかして地球経験者?」

朱雀の耳元でかぐやは問う。

「いや違う。でも説明が難しいから玄武家の方を説明するぞ。」

そう言って朱雀は説明を始める。

「まず、玄武家には階級が存在する。」

「階級?」

朱雀の意外な言葉に疑問の声が上がる。

「玄武家は野蛮でな、能力と頭のキレで階級が決まるんだ。そしてその階級の区分けの仕方が苗字ってわけよ。」

「へ〜なるほど。で、苗字はどう変わるの?」

かぐやの質問に対し要は少し嫌な顔をしていた。

しかし朱雀はそんな事気にしてないように答える。

「上から玄武、地籟(チライ)、井楼(セイロウ)、武藤の4段階だ。」

「え、それって…。」

かぐやは何かを察したのか要の方を見る。

朱雀も少し躊躇ったが言い放った。


「武藤要は能力の無い落伍者だ。」


27話に続く…

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