第25話 朱雀、刺客をボコる

『朱雀様、依頼が入りました。鳳凰邸までお越しください。』

「了解した。」

朱雀は直方体の金属に向かい返す。

「あ、使ってくれてたんだ、スマホ。」

「連絡できる奴は限られるがな。」

スマホを左胸ポケットにしまい朱雀は立ち上がる。

「せっかくだし鳳凰邸まで送るわよ。」

「その表現、車持ってるやつくらいしか使えん気がするが…。」

小言を挟みつつ朱雀は襖を開ける。


「こんにちは、かぐやさん。」


襖正面の中庭に誰かいた。

青髪の身長は…165くらい?の朱雀と同じような体型をした少女だった。

「こんばんは……あき…朱雀、この人知ってる?」

明といえば前の少女に朱雀のことを知られてしまう事に気づいてかぐやは言い直した。

半径50cmくらいにしか聞こえない声量でかぐやは問う。

まじでご存知ない人なので少し怖い。

しかし、先程までいた朱雀が消えている。

もう一度少女の方へ振り向こうとしたら…


「「バゴゴゴゴゴゴン!!!」」


轟音が中庭で響き渡り、一瞬にしてデカいクレーターが出来ていた。

「どの面下げて来やがったこの''ロボ女''!」

「オスだけに元気そうじゃないか、この''オス女''。」

かぐやは何が何だか分からなかったが一つだけあることを理解した。

((こいつらメッチャ仲悪いじゃん…。))

少女は地面を蹴り飛ばし、朱雀は白い翼を生やして天空へと昇っていく。

そして頂天に達したところで、轟音と風圧が建物を揺らし始めた。

「おら!全然成長してないなこの底辺IQ!」

「それを言うならあんたでしょ!?その動き2秒前に見たわよ!」

拳同士のぶつかり合いで発生した高周波がかぐやの顔を掠める。

「……。」

そして戦闘描写がサ〇ヤ人編からフ〇ーザ編に移り変わろうとするとき、


「ストッーーープ!!ストッーーープ!!」


かぐやの一喝がそれを遮った。

「これは戦闘系小説でもドラゴ〇ボールでもないわよ!やるなら他所の小説にしなさい!」


少し間をおいてから少女が口を開く。

「…そうだね。急に襲って悪かった。」

「すまんかぐや、これは一応ギャグ小説だったな…一応。」

朱雀だけ謝ってる対象も、ベクトルも違っている気がするがまぁいい。

これでこの小説の方向転換は避けれた。

…と思っていた。

朱雀が地面に向かい降りようとした時、

「なんて、言うとでも?」

青き少女は手のひらから出現したレーザーのような流水を朱雀に放つ。

「朱雀、危な―」

「詰めが甘いんだよ。」

そう朱雀は一蹴し、流水を軽々避ける。

「クソッ。」

少女は悪態をついているうちに朱雀の手によって体制を崩す。

「こうなりゃあたしの能力をフル活用した技を見せてやるよ。」

そう言って朱雀は拳を引く。

「ふん、あんたの透視能力なんて何の役にも…」

少女の言葉を無視して朱雀は叫ぶ。

「喰らうがいい、天地天明・唯我独尊・必中必殺奥義……」

そして朱雀は引いてた拳を突き出す。


「「「溝・堕・ち!!!」」」


朱雀の拳が少女の腹に突き刺さる。

「…いや、ただの腹パンじゃん。」

かぐやは半目で朱雀に抗議するが意外に効いてるらしい。

「が、がはぁ……。」

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ガンッ!

上から思いっきり落下し、頭から地面に突っ込んだ。



「……どうするのよ。」

少し間を置いた後に気絶している少女を見ながらかぐやは問う。

「…とりあえずセメントある?」

「無いわよ、というか一体何に使うつもりよ。」

「いや、特にやましい理由は無い、とりあえずこのメスガキを連行するぞ。」

そう言い少女を担いでかぐや達は爆心地を後にした。


26話に続く…

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