第23.7話 S〇itch制作作戦②

「それで、こんな面倒くさい状況になってるんですね。」

玲愛は書類の束をまとめながら言う。

「10110011010111001100…」

「まぁな、これもあたし達のSwitchのためだ。かぐやも頑張ってくれてる事だしあたしは書類の複製をしてくる。」

そう言って直ぐに立ち去る朱雀。

「100111010110010100111…」

「かぐや様…頑張ってるのは分かりますがあまりにも異質すぎますよ…?」

「やめて、イメージがブレる。」

何故かぐやが2進数を唱えまくっているのか、不思議に思うだろう。


ここで少し、勉強をしよう。

機械やゲーム、その他諸々の電化製品は電気の指令によって動く。

その数字が「1」と「0」なのだ。

(2という数から新しい桁になる数を2進数と言う。)

相当回りくどい手段だが、かぐやにはSwitchの中身をイメージするために、この配列を唱え続けているのだ。

―一方朱雀。

「不知火、これからあたしの言う事をひたすらメモしなさい。」

「こんな雑務久しぶりですよ…。」

何故か2人の計画に玲愛と不知火が巻き込まれてるのはもう言うまでもないだろう。

完全に巻き添いである。

「いくぞ、1011000101111010110…」

「ちょっと待ってください、7番目なんて言いました?」

「はぁ…もう1回言うぞ?1011000101111010110………。」

こっちもこっちで時間がかかりそうだ。

―10時間後。

「戻ったぞー。」

「10110101101011…」

朱雀がかぐや宅に戻ってきたがまだ完成していないようだ。

かぐやの呪言と後ろのS〇itchらしき残骸の山がそれを物語っている。

「朱雀様、それと不知火さん、お疲れ様です。」

特にやることのない玲愛はずっと書類を読み漁っていた。

「ほら、かぐや、これはだいぶいい設計図だと思うぞ。」

朱雀はそう言って書類をかぐやにやる。

「あ、今回は数字が少ない。」

「………!!!」

玲愛がそう気づくに合わせてかぐやの意識が覚醒する。

「ふふふ、揃った…パズルのピースが…。」

そう囁き、かぐやは立ち上がる。

「つ、ついにですか!?」

玲愛はようやくこの地獄が終わると思って少し涙が出ていた。

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

かぐやはそう叫び、物体を生成する。

そしてすかさず朱雀は電源を入れる。


…物体に光が灯った。


「「しゃあああああああああああ!!!」」

「「やったああああああああああ!!!」」

かぐやと朱雀の叫びが部屋中を響き渡った。

「…………。」

「…………。」

叫びを上げた直後に2人は気を失ってしまった。

無理はない。

約10時間休まずに作業をしていたのだから。

「不知火さん、2人が寝ているうちに初期設定を終わらせましょう。」

そう言って玲愛はS〇itchに手を取る。

「…あれ?」

「どうかしましたか?」

次に玲愛は衝撃的な一言を放った。


「これ、S〇itch lightじゃね?」

※リ〇グフ〇ットアドベンチャーできない。


……。

………。

…………。

虚無な空気の中で時間だけが通過していく。

「…玲愛さん。」

「…なんですか。」

不知火は玲愛にある質問をした。

玲愛も何かを察し逃げる体勢に入っているが、間に合わなかった。


「玲愛さんって創造能力ありますよね?」


23.8話に続く…

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