第21話 かぐや姫、数千年の関係に決着をつける④

「えぇ!?かぐや様!?なんでですか!?」

玲愛はもう朱雀に聞こえるんじゃないか、というレベルの大声で叫ぶ。

「玲愛、どうせ( ゚д゚ )ホゲーってしたら勝ってカードを伏せてやったら負けたから朱雀が心を読む能力あるって思ってるんでしょ?」

「うっ…」

かぐやの正論で玲愛は息を詰まらせる。

「大事なのは勝敗じゃなくて朱雀の動きよ」

「どういうことですか?」

かぐやは淡々と説明を始める。

「第一に相手の状況が理解できるなら負けるべくして負ける時もあるわ」

「あの、言っている意味が分からないのですが…。」

かぐやはため息をついて言う。

「あんた…一局目で朱雀が投了したのを忘れたの?」

「あっ確かに!!」

もうダメだこの女は…と思いながら説明を続ける。

「だから朱雀が負ける時には1回もレイズを宣言してないのよ」

玲愛もその事実を知って驚愕する。

今までの勝負を思い出してみると、かぐやの勝利ポイントと朱雀の勝利ポイントには決定的差があるのだ。

「そして、朱雀の五局目の動きが1番重要なのよ」

玲愛は首を傾げる。

朱雀はレイズを宣言していたし、特に怪しい動作はしていない。

だがかぐやは玲愛の心を読むように答えた。

「怪しい動作をしてなくても、怪しい動作が生まれることはあるわ。」

かぐやが難しい()ことばかり言うので、玲愛の頭がそろそろパンクしそうだ。

「怪しい動作が生まれる…?」

「自分で意識してなくてもしてしまうのよ」

「あの…そろそろ答えを教えてくれませんか?」

かぐやは頭を掻きながら答える。


「ならなんで、朱雀はレイズをするまで躊躇ったのかしら」


この言葉で玲愛は全てを理解した。

あの時、朱雀のカードは4と8のツーペアだった。

決して弱くない組み合わせ。

だが、かぐやはカードを交換しなかった。

だから朱雀は慎重ながらもレイズを宣言したのだ。

「かぐや様!わたし全て理解出来ました!」

玲愛は頭の謎を全て晴らせてスッキリしたが、同時に核心的な疑問が湧いた。


「でも、どうやって勝てばいいんですか?」


そう、透視能力なんて正々堂々と戦ったら絶対に勝てないし、不正を暴くことなんて能力的に難しすぎる。

しかしかぐやは笑顔を浮かべて答えた。

「そのためのやるべき事リストよ」

「遅い!もう3分オーバーしてるぞ!」

朱雀はだいぶ怒っている。

「うるっさいわね…細かい女はモテないわよ」

かぐやは耳くそをほじりながら返す。

「それじゃ、始めるわよ」


第六局目、かぐや先行。

「あんたをここで終わらせてあげるわ」

そう言い、かぐやはカードを束ねる。

そして、かぐやは驚くべき宣言をした。


「8300ポイントにレイズよ」


「!?!?」

朱雀は驚愕を顔に映し出す。

「あれ?所持ポイント以上を賭けちゃダメなんて言ってなかったわよね?」

かぐやは煽るような、馬鹿にするような嘲笑を交えて言う。

「ちっお前ぇ!」

朱雀は怒りを表に出すが直ぐに冷静になる。

「…いいだろう、コールだ」

朱雀はこの生か死の勝負に乗った。

そして、カード交換に入る。

もし、かぐやがカードを入れ替えれば、8300ポイントのレイズはハッタリとなる。

朱雀はかぐやの動きを入念に監視する。

透視能力も交えて。

朱雀は目をひん剥くようなモノを見た。


かぐやの体の所々にトランプのシルエットがあったのだ。


((そうか…かぐやはイカサマで勝とうとしている!不正発覚がここで役に立つとはな…!))

朱雀の表情に笑顔と驚愕が入り交じる。

((わたしの透視能力が無ければ勝っていたのになぁ!))

朱雀は、かぐやの元に飛び出る。

「え!?朱雀さん!?」

そして、かぐやの着物を剥ぐ。

しかし、かぐやは笑っていた。

なぜなら、これでかぐやは勝ちだからだ。

朱雀の顔色が橙色から真っ青に変わる。

朱雀が不正を暴けばかぐやは負けになる。

しかし、かぐやは不正なんてしていないのだ。

かぐやの着物の裏、そう、''2着目''に!


トランプの形に似た、貼るカイロが入っていたのだ!


青ざめる朱雀を見て、かぐやは嘲笑を交えて言った。

「あんた、なんで見えない2着目に、カイロがあるなんて分かったの?」


第22話(④+α)に続く…

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