第15話 かぐや姫、猶予期間を酷用する

「ポーカー!?」

玲愛は驚きを隠せなかった。

それもそのはず、ポーカーならこの前やった。

ルールを把握しているかぐやは最低限のアドバンテージを獲得できるのだ。

「最低レートは100ポイント、初期所有ポイントは5000、目標ポイントは10000、不正発覚で敗北、ていうのはどうだ?」

朱雀は遊び感覚で話を進める。

まるで''必ず勝てる自信''があるかのように。

「で、決戦の日は?」

かぐや姫も半笑いで朱雀に問う。

「うーむ、今週の日曜日の270時、どうだ?」

「分かったわ、日曜日に会いましょう」

そう言って、玲愛の肩を叩く。

「ほら、もう夜遅いから、おやすみ玲愛」

「ええ、ええ!?かぐや様ー!?」

急に自室に帰り出すかぐやに玲愛は驚く。

「あーそうだ、言ってなかった事がある」

朱雀の言葉でかぐやは足を止める。

「もし当日参加しなければ」

玲愛はゴクリと息を飲む。


「お前らの行為を報告し記憶を消させる。」


「………」

「ガクガクブルブル……」

かぐやは黙り、玲愛は震えまくってる。

「それじゃ、健闘を祈る」

朱雀はそう言って、かぐやの元から去ったのであった。

……………。

しばらく静寂が続く。

「どうするんですか」

「とりあえずいつもの生活をするわ」

玲愛の質問は、呆気ない返しで終わった。

「それじゃ、また明日」

「本当に何もないんですか?」

何も戦略が無ければ、運で勝負をすることになってしまう。

それだけでは避けなければならないが…

「………」


かぐやは何も言わなかった。


-水曜日。

「おはようございますーかぐや様」

玲愛はかぐやの言われた通り何事もないように入室する。

「おはよう、玲愛」

かぐやも何事もないように返すが玲愛と違い顔に若干の疲れが見える。

「本日のお召し物とスケジュールです」

「ええ、ありがと」

「では、わたしは自分の業務に戻りますね」

シャーーー………

「…………。」

かぐやは何も言わず書類を書き留めていく。

…本当に何も無いのだろうか。

作者の僕も心配してしまう。

「呑気だな、どう思う?」

そう言い朱雀の従者に体を向ける。

「今は何も動きを見せませんが、急に動きを見せるかもしれません。

朱雀様は引き続きかぐやさんの監視をしてください。

わたしはかぐやさんの従者の監視を行いますので」

朱雀の従者は十二分の返しをする。

「いいアイデアだ、今後はその方針にしよう」

「ありがとうございます。では失礼します。」

朱雀の一言で従者は玲愛の元へ向かった。

―13時間後。

「かぐや様ー書類の回収に参りましたー」

「ええ、はいどうぞ」

「え、ええ?仕事…やってある!?」

玲愛が驚くのも無理はない。

かぐやが記憶を取り戻してから時間内に書類を終わらせたことは今まで一回も無いのだ。

「かぐや様…?」

見るからに疲れているし、本気で大丈夫か心配してしまう。

「大丈夫よ」

それだけ言って、かぐやは仮眠を始める。

玲愛は少しずつかぐやに近づき、

「勝てるって信じてますよ」

かぐやの耳元で囁き、その部屋を後にした。

―玲愛の職場。

「かぐや様、本当に大丈夫かな」

部屋に着くや玲愛は独り言を漏らす。

だが直ぐにやめて書類の整理を行うことにした。

ガサガサガサ。

玲愛は途中で手を止めた。

中に何かある。

玲愛は書類に紛れた封筒を見る。


玲愛へ


第16話に続く…

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