第16話 かぐや姫、オタク文化に手を染める

「かぐや様…」

玲愛は泣きそうな程嬉しかった。

かぐやは今週の日曜日の決戦に勝つ方法を考えていたのだ。

その事実だけで玲愛を安心させられた。

「だからあんなに疲れてたのか…」

朝からかぐやが疲れている理由を今になって察した。

玲愛はハイテンションになって封筒を破ろうとすると封筒に書かれてる字で手が止まる。


「あなた今監視されているわよ」


「!?!?」

玲愛は不自然にならないように周りを見渡す。

…誰も居ない。

だが朱雀も学習はする、必ず誰かいる。

玲愛はその事を直ぐに理解してトイレに入った。

「ここなら大丈夫、か」

玲愛はそう言って封筒を破る。

中からは数枚の手紙と何かのチェックシートだった。

玲愛は手紙を読む。


玲愛へ

あなたがこれを読んでいる時は、わたしが灰に近しい存在になっている時でしょう。

さて、今週の日曜日に朱雀との決戦が起こるわね。

ゲームに勝つのはわたしに任せなさい。

そして、あなたにも''仕事''をあげるわ。

それを今週の日曜日までに終わらせなさい。

わたしは日常会話で朱雀達との戦いについて喋ることはないから。

もう2枚は困った時用の手紙で、

もう一方は今やるべき事リストよ。

それじゃ、頼んだわよ、玲愛。


「…わたし、信用されてるな」

玲愛は自分の主人、いや友達に信頼されている事を少し恥ずかしいと思いながらも嬉しい気持ちになった。

「さて、やるべき事リスト……は…」

玲愛は絶句した。

そのリストはぱっと見ても10項目以上は超えていたからである。

それもめんどそうなのばかり。

これとかなんだ。''わたし型の紙を作れ''って。

「………………」

玲愛は絶命した。

―木曜日、昼。

「かぐや様ー本日の書類を回収にー…」

いい加減この流れも飽きてきているだろう。

だが、今回は今までで最も酷い状況だった。

「あ、玲愛君、おつかれで候う」

「…は?」

玲愛は今までの敬意を全て破壊するような返しをかぐやにする。

かぐやは朝からの15時間で豹変していた。

絶対前見えないだろ、ってなるような丸メガネと何か地球人が描かれたTシャツ、そして何の意味があるのか分からないバンダナ。

…本当に何があったらこうなるんだ。

そして、前かぐやが召喚したTVを見ると何か絵がコマ送りで映っている。

「なんですか…これ?」

「ご〇うさで候う」

かぐやはだいぶ斜め上の回答をする。

だが正直そんな事はどうでもいい。

今はやるべき事があるはずだ。

「かぐや様、書類は終わったんですか?」

そっちかーい。

「書類などという肩書きだけの雑用に、わたしは縛られないで候う」

「ちゃんと仕事してくださいよ…あとその喋り方やめろなんか腹立つ」

玲愛もあまりのかぐやの豹変具合で敬語というものを忘れかけている。

「はぁ…」

玲愛は未だにアニメを見ているかぐやを見てデカいため息をする。


「こんなんで勝てる訳がねぇ」


17話に続く…

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