第12話 かぐや姫、覚えのない罪に問われる①

「なぜここにいるかぐやの従者!」

ここはかぐや姫の屋敷(職場)の近所の屋敷の屋根。

そこで赤き美女とかぐやの従者、玲愛が面を合わせていた。

「すー…」

「……?」


「「かぐや様ー!!ここですよー!!」」


玲愛は思いっきり叫んだ。

「な、何をしている!?」

赤き美女は玲愛に吠える。

「答えなら、わたしの主が説明してくれますよ」

玲愛はそう答えて、職場に目を向ける。

「…こんばんわ、ストーカーさん」

かぐやは待っていたぞと言わんばかりに障子をこじ開けた。

「そんな…お前は寝ていたはずでは!?」

「こんな絶好のチャンス、寝て過ごすと思う…?」

そう言い、降りてくるようかぐやは手招きする。

「あなたは引っ掛かったんですよ。かぐや様のトラップに」

「だが…そんな仕草どこにも…」

赤き美女は困惑し続ける。

それを見てかぐやは笑う。

「やれやれ、個人情報大好きなあんたでも、流石に風呂は覗かないか」

風呂というワードに赤き美女は何かに勘づく。

「風呂…?まさかお前ら…!」

「かぐや様…なんで一緒に風呂に入ろうなんて…わたし達、そういう関係でしたっけ」

そう言いながら服を脱ぎ捨てる、玲愛。

「正確には、風呂に入ろうじゃなくて、風呂で話そう、ね」

「風呂で?」

玲愛はかぐやの訂正に首を傾げる。

「あなた、もし、今までの行動と会話、全て聞かれてたらどうする?」

ハッと玲愛も気づく。

このまま敵の策に乗れば、7時間くらいの努力も水の泡だ。

「だから、''仕掛けなかった''」

「仕掛けなかった?」

かぐやの謎の言動に玲愛は疑問の声を漏らす。

「そう、今まで仕掛けた罠、全て敵が知っているなら、逆に仕掛けられてない方を行くのが当たり前。だから仕掛けない1箇所であなたは待ち伏せるのよ」

「かぐや様は行かないんですか?」

玲愛は自分がその敵と対面することに疑問の声を上げる。

「相手の目的は多分の作戦の妨害とわたしの監視、ならノーマークのあなたに行かせるのが1番いいのよ」

「なるほど…」

「それと、風呂から出た後の会話は全て嘘だから、真に受けるんじゃないわよ」

「しっかし、こんなチープな罠に引っかかるなんてね」

かぐやは赤き美女の前に出る。

赤き美女は何も声が出ない。

「おら、前に出てきてやったんだから早く名乗れよ」

かぐやはヤクザみたいな聞きたて方をする。

((かぐや様、怖ー))

玲愛はかぐやを見て咄嗟に思ってしまう。

「ふふ…まさか手のひらで踊らされてたのはあたしだなんて…」

赤き美女はそういいながら姿勢を変える。

「あたしの名前は朱雀!朱雀明!地球南部気象操作委員会の会長の娘!」

朱雀は高々とそう名乗った。

「なるほど、あんたが朱雀ね。こうやって話すのは200年ぶりかしら」

かぐやは頭を掻きながら昔の事を思い出す。

そして朱雀は次にこう叫ぶ。

「そしてあたしの使命はー」


「親仇であるかぐや!お前を葬ることである!」


一瞬空気が固まった気がする。

…というか固まった。

2人は言ってる事が理解出来ず、

ただただこう言う他無かった。

「「は?」」


第13話に続く…

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