第11話 かぐや姫、敵にトラップを仕掛ける

―火曜日。

「はあー、警備疲れたー」

仕事も終わり、一眠りつこうとする玲愛をかぐやは叩いて起こす。

「何寝ようとしてんのよ、作戦練るわよ」

「ふえ?作戦ったって何を…?」

「そりゃあ…あんた…」

かぐやは呆れながら言う。


「わたし達を阻害する敵達のことよ」


「あー」

「あーって何よ」

玲愛の素っ気ない返しにかぐやは突っ込む。

「いや、数話ぶりに本編に触れるから忘れてましたわ」

「メッタ」

このままだとまた脱線すると玲愛は察して聞く。

「それで、何をするんですか?」

「犯人をとっ捕まえる」

即答するかぐやに玲愛は疑問の声を上げる。

「誰かも分かってないのに出来るとは思わないんですが…」

「いや、そうでもないわよ」

「え?」

かぐやの意外な返しにまたしても玲愛は驚く。

「とりあえず、外出るわよ」

「なんでですか?」

かぐやはそう言い、玲愛の腕を引く。

「玲愛、こっから見晴らしの悪い所は?」

「見晴らしの悪い所?」

かぐやに言われ、玲愛は辺りを見渡す。

「屋根裏とか、トイレの窓ですか?」

玲愛は頭を掻きながら答える。

「正解、さて、日没になるまでに罠を仕掛けるわよ」

「急過ぎません!?」

「ほら、急いで急いで、敵がくるわよ」

そうかぐやは言って、玲愛と罠を仕掛けに行った。

…日没まであと10時間。

「…意外に早く終わりましたね」

玲愛は息を切らしながら言う。

落とし穴に電気タライ、クロスボウとなんでもセットである。

「さーて、疲れているでしょう。汗を流しにいくわよ」

「え?急にどうしたんですか?」

唐突にかぐやが優しくなるもんだから、玲愛は焦り出す。

「いいから!汗臭いとモテないわよ!」

そう言って、かぐや姫と玲愛は風呂に向かった。

…日没まであと2時間。

「さて、もうすぐ敵が来るわね」

伸びきった髪をタオルで拭きながらかぐやは言う。

「後は何かしますか?」

玲愛も髪の水分を絞りながら返す。

「そうね…玲愛は罠の見回りを頼むわ。わたしは寝てるから」

「ちょっとは働いて下さいよ…」

「善処するわ」

その後もちょっとした会話を挟みながら、かぐやは寝室へ、玲愛は罠の見張りに行ったのであった。

…日没まであと0分。

「…馬鹿どもだな」

赤き美女は囁く。

「昼間から見張ってることにも気づかないなんてな」

これは驚くべき事だろう。

かぐや達の作戦を全て見抜いた上で赤き美女は行動していたのだ。

「近いうちに見抜かれると思っていたけど、もう1ヶ月は大丈夫そうね」

そう言って''罠を仕掛けて無かった場所''を

赤き美女が離れようとすると、

「あなたでしたか、朱雀さん」

「…!?」

後ろに立っている見覚えのある女に気づき、赤き美女は距離を置く。

「何故ここにいる…!」

全身の産毛を逆立てながら赤き美女は叫ぶ。

「驚いてくれて何よりです」

黒き髪の女はニヤリと笑う。


「かぐやの従者!!!」


第12話に続く…

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