第10話 かぐや姫、従者の地球嫌いをなんとか克服させようとする

―最近、玲愛の様子がおかしい。

地球が嫌いなのかわたしが嫌いなのか知らないが、地球の食べ物を食おうと誘う時も、

「絶ッッ対嫌です。だってあれ不味いですし口臭悪くなるし」…と断るようになったし、

その他にも、わたしが前イタズラで風呂を覗いてみたら、玲愛が青い球体に藁人形をくくりつけて、クギを打ちつけているのを見てしまった。

…あまりにも怖かったので帰った。


いや、うん、疑うまでもない。

玲愛は前よりも地球が嫌いになっている。

このままだと、これから行う犯罪にも支障が出るかもしれない。

前冗談で言っていた、犯人は〇スが実現してしてしまうかもしれない。

どうにかして…どうにかして地球の良さを

玲愛に伝えなくては…!

「かぐや様、何頭を抱えているんですか」

「ぴゃあ!な、なんでもないわよ」

急に後ろに立っている玲愛にかぐやはビビり散らかす。

78日ぶりの休みで目が疲れているのか知らないが玲愛の目が少し怖い。

「それで、今日休日ですけど、何かするんですか?」

((なにか…なにかないのか…玲愛に地球を好きになってもらう方法は…))

\ピカーン/

なんか閃いたらしい。

「イ〇ゲームっていう地球人が作ったドラマがあるんだけど」

「イ〇ゲーム?」

「そーそー一旦見てもらってその後、モノマネでもやろうと思ってねー」

「…はぁ」

((そうだ…わたしは天才だ…!負けるフリをすれば、なんだかんだチョロい玲愛は満足するはず…))

「じゃ、じゃあ早速見ましょう!」

そう言いながら、超常現象を起こすかのように、テレビとDVDを生み出す。

「かぐや様…そんな能力あるならもう地球に行く必要ないんじゃないですか…?」

玲愛はさらっと地球に行かない案を提示しながら、畳に腰掛けた。

・〜視聴中〜

「…人間は愚かなものですね」

「そう?」

玲愛は傷つけ合う人間達を見ながら言う。

「月の民も同じだと思うけどね」

かぐや姫は返す。

「わたし達は地球人に色々やってきた。異常気象に地震、噴火…なんでだと思う?」

「そりゃあ地球人に此処に来られないためでしょう」

玲愛は当然だろ、という風に返す。

「ふーん。なんで?」

「なんで?とはなんですか?」

「なんで月に来させないようにするかって事よ。」

かぐや姫はいつになくマジメな顔で言う。

「それは…地球人から身を守るため…?」

「…ほら、一緒でしょう?」

「…」

「月の民だって地球人を傷つける、自分達のために。本質的にはみんな一緒」

「それは…」

玲愛は少し困惑する。

自分が嫌っている人間が、同じだと言われたのが少し気に食わないからである。

「誰だって悪いことをする、大事なのは、その行為に対し責任を持つこと」

「…」

「あんたはそれで…地球人が悪いと思う?」

かぐや姫は玲愛に問う。


「…分からないですよ」


玲愛は何か知れずにそう答えた。

シリアスな展開もあっていい感じに終わる…

それでいいはずなのに…

「玲愛、これどうやったの…?」

人が死ぬレベルの高台に、一直線上の路地の真ん中に落とし穴、そして縄がある。

あれだ、これは紛うことなきあれだ。

〇カゲーム式綱引きだ。

「かぐや様もやってたじゃないですか」

((え、あれ、あんたも出来るの!?))

「さーってかぐや様、ゲーム開始といきましょう。これ作るのに5時間かかったので」

玲愛は深呼吸を終わらせ言う。

逃げようとしたが、何故かかぐやの腕に手錠が巻きついている。

「はい、せーの」

「え、ちょっ、まっ」

グィィィィィィ…スパン!ヒュー…。

やっぱり、争うのは良くない。

クソ喰らえだ。


「「ひゃあああああああああああ!!!」」


第11話に続く…

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