第7話 かぐや姫、なんでもない日を過ごす
カリカリカリカリ…ポンっ
…平日、またしても1週間が始まる。
次の休みまでは78日。
1日の休みも冬休み並の長さをしているが、
それ以上に仕事がキツい。
しかし、当のかぐや姫はそこまで苦ではなかった。
「はぁ…やっぱ疲れるわ」
何故ならもう数日で地球に帰れるからだ。
殺害予告はもうすぐに見つかる。
もうすぐでこの苦行も終わる。
そう考えれば、この業務も耐えられた。
「か・ぐ・や・様〜、書類の回収に参りました」
玲愛もだいぶ上気分だった。
そういえば、彼女の業務には触れていなかったので、彼女の1日を紹介しよう。
〜玲愛のモーニングルーティーン〜
「ふぁ〜」
起床するや直ぐに歯を磨き始める玲愛。
月の民に飢餓というのは存在しないため、
食事というのは一種の娯楽となっている。
なので食に興味のない玲愛は基本的に何も食べない。
さっさと正装に着替え、ご自慢の長い髪を一纏めにする。
それが玲愛の準備のルーティンだ。
シュバッ、タッタッタッタッ
玲愛は上機嫌に廊下を駆けていく。
「おっはようございます!かぐや様〜!」
―その後は、長くなるので端折るがガードマンの仕事をしたり、書類確認を行ったり、かぐや姫の近況報告を上官にしている。
…正直どんな業務より近況報告がキツい。
「はい、かぐや様は本日も正常です」
玲愛は一応作戦の隠蔽のため、デタラメを報告している。
苦行なのはこれではない。本当は…
「いや〜今日の玲愛ちゃんも可愛いね〜」
上官のデブ共だ。
「あ、ありがとうございます〜笑」
「この会議が終わったら一緒にお食事でもどうかい♡?」
((キモイ…))
ただただそう思う他ない。
「いえ〜わたし、食事があまり好きではないのでこれで失礼させていただきます〜」
バタンッ
玲愛は颯爽とその部屋から脱出する。
「はぁー」
こんな日を毎日毎日Everyday続けている。
朝から夜まで何かの業務。辛いとしか言いようがない。
そんな日々ももうすぐで終わる。
だから彼女はあんなに上機嫌なのだ。
「ズズズズズ…フー」
変な擬音を立てながら何かを食べているかぐや姫。
「何を食ってるんですか?」
「え、これ地球人のよく食べる食べ物よ。あんたも食べる?」
異様な匂いを放ち、暑い空気をかもし出すカップ状の食べ物を差し出し言う。
「地球の食べ物…ですか」
((なんでこんなもん持ってるんだ…))
そう思いながら玲愛は顔をしかめる。
「地球に行くからには1回は食っときなさいよ。」
地球の物体を押し付けてかぐやは言う。
「え…えぇ…」
((い、嫌だーー!!!))
もう一度確認するが、地球とは月の民にとって汚らわしいものである。
「ほら、はよ」
「わ、分かりましたよ…」
ズズズズズ…
「…………」
「…………どう?」
かぐやは何かを察して聞く。
「…まずい」
第8話に続く…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます