第2話 かぐや姫、労働環境に絶望する

「で、どうなされたんですか?」

書類が散乱した部屋(職場)で玲愛はかぐやに問う。

「………」

「話してもらわないと分からないですよ」

かぐや姫は困惑していた。なぜなら…

「ねぇ。あなたは地球人を見るのは初めて…ですよね?」

その質問に対して、玲愛は

「そんなの当たり前じゃないですか。あんなおぞましい生物、1度みたら忘れられる気がしません」と断言する。

「で、ですよねー…」

かぐやのしどろもどろな仕草を見て玲愛は

「どうしたんですか?かぐや様」

と問う。

それに対しかぐやは

「い、いや、わたし、あの地球人に既視感があるんです」

「え?」

「いやだから、私は地球人を見たことがあるの」

かぐやの返事を2度聞いた玲愛は少し考えて、

「かぐや様、地球人に関する情報を知りすぎてるのでは?」と真面目な顔で返した。

「隕石の投下、異常気象、火山の噴火、それらの現象を起こす許可証を見すぎたんじゃないですかね」

「…そうかも」

かぐや姫も納得したようで

「仕事をし続けて疲れたちゃったのかも」

それを聞いて安心した玲愛は

「そうですね。この後のお見合い15件もキャンセルするよう申請してきます」

「…ありがと」

―翌日。

朝早く、玲愛がかぐやを起こしに来た。

「おはようございます、かぐや様。これは本日のお召し物です」

かぐやは寝巻きを脱ぎながら今日の仕事内容を聞く。

「えーと、10時から23時まで書類の処理をおこなって、24時から29時までお見合いをして…」

「ねぇ、玲愛」

「はい、かぐや様なんでしょうか」

「1日って24時間なんだよ?」

かぐやは真剣ながら「ふざけてんのか」みたいな顔をして言う。

「はい?ここ月では1日312時間ですよ?」

「あれ、そうだっけ?」

「かぐや様、地球に対する知識マウントはいいので本日の書類を」

玲愛は面倒くさそうに返し書類の山を置く。


スゴーンッ!!!


「………!…?」

「どうなされました?かぐや様。いつもの量の書類ですよ」

「そ…そうね」

「では、わたしは自分の業務もあるので失礼します」


…………………なにかがおかしい。

この仕事はいつもやっている…平凡な業務の…はずなのに。

((((なぜ…多く感じるのよ!))))


「基準」それはその事柄を「普通」と見なすための要素である。

1つしか物事を知らなければその事柄は当然

「基準」、そう「普通」になる。

しかし、このかぐや姫、地球にいた頃の記憶が蘇り、

「「労働の基準が地球の基準になってしまったのだ!」」


「ま、まぁ、以外と少ないかも…しれないし

…」


…13時間後

「かぐや様ー書類の、回収に…」

玲愛は驚きを隠せなかった。

それも、そのはず…

…かぐや姫が干からびていたからだ。


第3話に続く…

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