第8話 ホワイダニット^2
「……なぁ」
横にいる戸高が声を発する。
「なんだ?」
いやさ、と口籠る。どうせ、篠宮の事だろう。
「……どうせ、篠宮の好きな奴、分かりきってるよなぁ」
何を当たり前のことを、そう俺は独りごちる。
「一宮だろ?」
「だよなぁ……」
戸高がため息と共にそう言葉を吐き出す。
「なんだ、お前も一宮のこと好きなのか?」
冗談交じりに。勿論、本気で言ってる訳じゃない。
「ないない。そりゃ好きな奴は多そうだけども」
一宮鈴奈。結構な美人、というか美少女。テストの成績はいつも上位で、運動も出来る。学校生活での模範的文武両道を体現したかのような人物。
「まぁ、アイツは良い奴だからさ」
「だな」
「まぁ、だから上手く行って欲しい訳よ」
「だから、あの焚き付けか」
篠宮が積極的になれるように。俺らがアドバイスをしたり、背中を押せるように。まず、名前を引き出す。そうやって段階を踏んで、告白まで持ち込む。それがどうなるかは、俺らは無責任にならざるを得ないが。
「ん……? あぁ、そうだな。そう」
……戸高は全く考えてなかったようだが。
砂浜で好きな人の名前を叫んだら本人に聞かれてた話 Ray @afk3164
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。砂浜で好きな人の名前を叫んだら本人に聞かれてた話の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます